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わかりません
と、言った私の言うことが
わかりません、という顔を貴女がしていました。
貴女は、わかりません、を
私の胸から摘んで取り出しました。
私のわかりませんは、氷山の一角で
とりあえず、食卓に置 ....
1
妻は、朝起きられない私がニワトリになろうと決意するのをみて、包丁を研ぎ始めた。
2
ほんとだよ、を繰り返す恋人の話に、うそでしょ、と繰り返す彼女は、恋人が嘘になるよう、お祈りするのを欠かさない。 ....
日曜の浜辺を少女が歩くと
海は境を失って
空気のすべてが海になる
宛先のないという名の手紙
インクが海に溶けだして
魚になって泳いでいった。
悲しそうにうつむいて
少女は機械に話します
「電波の届 ....
「other=M」
浜名湖畔に住む老人が、言葉を発しない
物語調に、省みた波が今日もM字を描く
潮干狩りにきて、指を挟んだカニのハサミが外れてしまう
僕のせいじゃない
骨を砕いたような雲が
大声で笑 ....
どの花瓶になるだろう
竹のはなが生けるのは
月の国から降り立って
娘は、衣を置いていく
静か揺らめく白い羽衣
薬の燃えた、白い灰煙
糸のようにすっと伸び
あなたの元に ....
少年は、チョークを手に持っている
軽石かもしれない
壁に描くのはいつも、目。
みゃぁ、と鳴く、猫の、みゃぁ、と鳴かない部分。
少年は、いつも日が暮れる前に帰る
煉瓦の、壁には、破れかかったポスタ ....