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背にひたい押しあてているどこよりも海から遠い場所のざわめき
「お大事に」はさびしい言葉云いかけてやめた言葉を思う道行き
やや強き風が発ち口噤むとき岬のようだホームの端は
....
満天の振り子時計の催眠術 そしてあなたも地球を忘れ
寝る前に目覚まし時計を仕掛けなさい 冬眠なら苗床でしなさい
哲学者と詩人と恋人達のため囀り止まぬプラネタリウム
窓際の ....
カーマイン、スカーレットにマゼンタの三人の魔女空で焼かれた
瑠璃色の勿忘草はまみどりに染めたの白をあきらめたから
人魚にも羽はあったと焼け跡の肩甲骨をさわった指で
当たり ....
青いものばかりあつめた僕達の歓声あおく響いた校舎
青色が好きな僕らは青色に好かれてもいる たとえば空の
上履きを脱いで廊下も授業中 ひたひた音楽ひんやり化学
教室で停電お ....
眩しさの中にいるとは知らぬ頃 ひかる手足を隠そうとした
境界は線ではなくてざらついた手触りだった 校舎みたいな
放されて時間通りに戻るのは別に躾の成果じゃないんだ
夕暮れ ....
深海に響くサイレン 旋律のようなうねりはやがて波へと
呼吸ひとつ躊躇うほどの静寂に抱かれて眠る幼い嵐
海水に混ざれぬ雨が沈みゆく マリン・スノーの一粒として
なにもかも蒼 ....
口紅がはがれた後のりんご飴 確信犯のうつくしいきみ
こんなにも渇いていたと知らされる 始めのひとくち貪る夕べ
日に焼かれ濃縮された僕達を還元しては味見する海
やわらか ....
夕立が無色透明装って世界の色を塗りかえていく
夏草で作りし花冠捧げればいろどり添える幼い香り
真夏にしか開かない扉見つけ出す触角のばせ跳ねる子供ら
縁側で午睡のさなか風鈴 ....
恋を知り少女がひとり懐かしむ灰をかぶった安寧の日々
階段の踊り場の恋は吊り橋の上の恋よりまことしやかに
12時で魔法は解けて ここからは本気であなたを落としにかかる
ラン ....
追いたいと思う心理を知り尽くし残り香すらも残さぬウサギ
いつもはね慎み深い私なの 貴方は特別“私を食べて”
「首を切れ!!」怒鳴るクィーン黙々と従うスペード恋は盲目
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