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漫然とした教室の中
五感が鈍くなった私に
ただ一人だけ
語りかけてくれるものがいる
親指のささくれ
はみだした部分を
引きちぎる
滲む
赤く
私の証明
そっと押さえる
指に転写さ ....
君の目が 僕を射抜いた日を思い出した
季節には似合わない雨の日に

アーリータイムスの琥珀色に溶けるように 静かに一滴
陽気な笑い声の中 ぶつかり合う氷の音よりも確かに

君の深い視線が  ....
ラジオとうごめき
前の部屋の匂い
寝る前は寂しがり
窓を開けたくても開けられずにいる

お酒が好きだった
タバコは吸わなかった
気前がよかったが
すぐ顔に出るので
こちらも言葉に気を ....
力を抜いて、目を閉じて、部屋の天井を見上げる。
蛍光灯の光が瞼にかすかに暖かい。
冬の冷たい空気も、夏のうだるような暑さも覚えてる。
初めてこの部屋に来たときのことも。
部屋は私を守ってくれた ....
夕暮れに宇宙船がよく似合う
町から町へ 港から港へ
電子が行きかうせわしなさと
カスタードクリームみたいな浮雲

閉ざされた場所で自由だったから
外の世界に出てわからなくなった
生きるこ ....
ゼロをたくさん
あんたの体についた脂肪みたい
切ってみると
殺人鬼がうようよ
どこで失くしたんだろう、
僕の存在証明書。

曖昧さではぐらかしたせいなのか、
いまいち実体が掴めないんだよ。


もし明日僕が死ぬなら、
僕の中の僕まできっちり死んでしまうだろう ....
おびえたカラスみたいに
があがあ鳴くの
つややかな黒の羽を
ばたりばたりさせながら

いっぽんの電柱の上で
歩く人を見下ろしながら

同じカラスが
飛んできたのに
くちばしをとがら ....
君がすっかり冷ましてくれた空は
ベルベットのように濃紺
余映がまだ少しオレンジがかっているけど
その独りよがりだった熱も
直に消えてしまうでしょう

どうかしていた、
どうかしていたんだ ....
 
 
 
【死が二人を分かつまで】
 
 
 
 死が二人を分かつまでに、あとどれくらい
 私はあなたを愛することだろう。
 
 かけがえのない時を刻みゆく中で
 限りあるこの ....
つばきのはなが

おちた


ボトリ


ぞっとする
満たされて表面張力
あふれ出してプリズム
刺激的に反射して
光る涙も虹色

小さな爆発連鎖して
君の心が崩壊していく

足りないのはH2CO3
弱まって微炭酸
ぬるくなって甘っ ....
あまい日差し
正午のランプ
カーテンの揺れる速度にもついていけない気持ちでいる

首筋 踝
なまぬるい指
喧騒がひどくとおくなり
カーテンの揺れる速度にもついていけない

からだ ....
君の内側から 僕を見たら

僕は何色かな

僕の内側から 君を見たら

君は見えなかった


当たり前だよ

僕はもう 濁ってるんだ

ああ

濁ってるんだよ
 ....
           リビングの窓から
        なにげなく庭をながめる
     北風は相変わらずしつっこいが
もくれんのつぼみは寒冷に耐え奏でている
       四次元のみえないリ ....
ひとつひとつの瞬間が僕をつくる
ひとつひとつの出来事が僕を変える
僕は僕じゃない。
僕は、死に続けている
死んでいった僕が僕になる
生きている僕が、僕を変える
何にでもなれる
僕は、何に ....
何も知らなかった
言葉が 空間を
じっと
漂っているのだと
考える 何も知らない
体としての
言葉が流されていく
世界を感じる 海には
奇妙な灯台が
消える 遠くの彼方で
音もない ....
迅く走る影は

あれは魚だと少年は信じている

軒下に吊されるまでに

鱗なんて全部

魔女の爪の中で砂金に換わるのに

あの子は雲を泳ごうとしたんだって



少年がまわ ....
貴女の華奢なその肩に
僕の全てを捧げられはしない
抱きしめるのも憚られるほど
気付けば僕達は触れ合わなくなった

毎朝絶望と共に目覚め
絶望と共に日々を過ごし
一日と共に息絶える
感じ ....
 空が鏡なのか
 海が鏡なのか
 そのどっちにも人間はいない

 心が笑うのか
 笑わされるのか
 だけどあたしが勘違いできたら

 ひらひら
 お構いなしに雲は流れる

  ....
たったひとつの
椅子をめぐって
僕たちはいつも
争っていた

そんなことが
ばかばかしく思えるくらい
ここは素晴らしく平和なんだ
建物の影が長く鴉の影を取り込むと
夜はちゅうちゅうと鴉の成分を吸い取りながらまあるくまあるく膨らんでいく
誰かが耳を澄ましているから
夜は静かなのでしょう
全身で聞いているから
夜は暗闇なのでしょう

街がしっかり消えてから

目を洗うふりをして
しばらく
目を泣かせた

きまじめだ ....
ざわり、心に落とされたものが
ぼくを嫌がる

うるさいものは嫌い
空白を大事にしたいんだ

同じにおいのするものはこわい
ぜんぶ見抜かれてしまう気がして

たすけてほしいと、
声も ....
おやすみの、後の 跡

夢の中では丸裸

情熱がさめきらない朝が来て

火照りきったパジャマと ひみつ

焼け終わったトーストは甘い香り

漂わせて 塗りたくってあげたい

口 ....
見えないナイフが

空気を切り裂くと

景色は加速する



僕は時計のワニに怯えて

部屋の掃除に明け暮れる



千切れた布切れみたいな寂しさは

何処にも結びつか ....
心臓の音がすき。
けれど
心臓の音を聴くのはきらい。
脈を打つ音を聴くのもきらい。

ふとした瞬間に
その音が聴こえてきて
とても不安にある。

だって、止まってしまったのがわかって ....
冷たい氷菓子を たべてみた

きんとする冷たさとともに

かるい頭痛


もう食べまいと おもっても

やめられない


私をつかんで離さない

それでいてすぐに溶けてしま ....
しずかにやんだ川を
木につるしてから出かける
まだわからずに
陶器の横顔
すれちがう人を
飲み干した
だけの流れ
持てやしないまま
垂れおちるときの膨らみ
あらわれた褐色に
もう私 ....
地球は丸いのに
底辺があるんだって
堕ちてしまったら
もう戻れないんだって

地球が丸いのは
外から見るからだって
中は三角形で
底があるんだって

てっぺんは尖がってて
おっと ....
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