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大陸の灯は臙脂色に蒼ざめた望蜀の礎
岩頭を蹴った四十億年後の奇形児は
宇宙の一滴として未然形のまま荒ぶ大洋を突き
遺産の頂点で呪符を戴く死出の旅路に夢中でした
光の精度は絶えず寄り添う闇の海 ....
その石はまるで子宮のように
あの日 交わったときから
じっと守り続けた
ゆだるような潮風からも
氷点下の吹雪からも
じっと路傍で待ち続けた
ただじっと砕かれる日を
穿たれる時を
自らが ....
回転を少し止めた朝は
おだやかな
エメラルドの生地で
ひとつの心臓もない
白い砂床に
波のつぶやきを聴く
貝の肉のような
とりとめのない柔らかさに憧れ
ギリギリと角質の擦れ合う ....
冬が背中のうしろまで来ている
今夜の雨は仄かにぬるく
地上のものの体温をすべて奪う雨ではない
むしろ
ささくれ立った地表を磨き
朝が来る前に
つるりとした球体に変えようとしている
古びた ....
ドアを開けたらまだ真っ暗で
少しめげたけど
新宿行き高速バスの始発は5時3分
元気を出して、君に会いに行こう
バス停は牧場の横、畑の中
途中が手探り足探りの真っ暗で
牛が寝言でいつも驚 ....
ねじを巻くのは
走れなくなったから
アスファルトのざらついた感触が
踵に痛くて
右足と左足の交差が作る
不確定なアルファベットが
読めなくなってからでは遅いのだ
きり、きりり
かつ ....
気付かない振りしてるだけで
わたし、とっくに気付いているんだ
夕食後の洗い物とかしている最中
わたしのバッグのなかを探っているのを
縁起良いからと買い求めたガマグチから小銭抜いたでしょ ....
・
十月も末になるとパソコンが
鼻をすするような音を立てながら起動するようになる
動作もどことなく鈍くて
悲しいつらい気持ち悪い
という類の言葉は迅速に変換されるのに
楽しい嬉しい気持ちい ....
道を歩いていたら
言葉が落ちていたので
拾いながら歩く
拾った言葉を並べてみたら
詩のようなものができたので
額縁に入れて飾っておく
紅葉が一枚
はらりと落ちて
そこからまた言 ....