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汚れてく白いトーブ
身に纏う子供たち
薬莢の匂いを運ぶ風
モノクロの景色から
産声をあげた今日に
光跡をつける箒星
願いはひとつだけ
想いよ消えないで
Helloひかりに 満ち ....
海のすぐそばを通る径に
崩れかけた廃屋があり
それを覆うほどの大きさの
汚い布が何枚も
何枚も重ねてかぶせられていて
浪や風が来るたびにひるがえり
がらんどうの廃屋 ....
迷惑というものが
足元に転がってきたので
これ
あなたのですよ
と元来た方向に蹴り返したら
露骨に嫌な顔をされる
それ
お前のもんだろうが
と
正しい日本語に言い換えて
返してあげ ....
新しいばんそうこうを貼って
おもてに出たらば
白いクジラが通り過ぎて
桃も潰れていた
夏休み~
誰もいない家の中
パスタを袋の中で折って
折って折って
折って折って
普通に美味し ....
Lと出会ったのは、まばらな枯れ木が散らばる空地が豊かな森に変わる、街のはずれの小ぎれいなパン屋だった。そのパン屋で、僕は毎週土曜日、夢のようなケーブルを敷設するプランについて話す場をもつため、大勢の客 ....
表参道で下車し
迷わず骨董通り界隈の路地裏に滑り込む
ことのできる哀しみを
誰かうたったことがあっただろうか
{ルビ時間=とき}の迷子たちがいつも
喪服を選び歩く路
解放的なカフェには ....
緑の繁栄を聴いている
ただ、ただ、
聴いている
ひとに
負担をかけないような
当たり障りない言葉たち
ひとの
望みを絶たないように
むやみに明るい言葉たち
緑の繁栄が ....
行倒れの男のように
靴が片方 ぽっかり見上げている
我慢しきれず漏らしてしまう
重苦しい空はぽつりぽつり
悲哀をくすぐりながら
見定めていたはずの世界を沈め
アトランティス
瓶の蓋 ....
薄っぺらなスクリーン
目を瞑るよりも暗くない部屋
フィルムの回転が切なくて切なくて
エピローグで音のない涙を零す
次に泣けるのっていつなんだろう?
....
{引用=さびしさで明けた一日は
かなしく暮れゆきまた終わる
遠くのどこにも里はなし
近くのどこにも愛はなし
かなしみで終えた一日は
知られぬなみだで幕となる
みあげるどこにも星はなし
....
其処は絹の路といわれた白骨街道
東から西へと千里を越えて
一か八かの夢を叶えるために
死を賭して人々は砂漠を越え
オアシスで葡萄と瓜で渇きを癒やし
伽羅とミルラと乳香と白檀に癒され
人々は ....
さえずりは無制限に落下して
漲る心臓
内側からほどけ展開する
うすべに浮遊都市
生贄のメリーゴーランド
空を蕩かす視線を
火の羽衣に包み
牡丹
ゆるりと爆ぜ
....
肋骨の
埴生 に 牝鹿らが
痩せている あなたの
電流をまわるるる
ピン・ボール!
ピン・ボール!
ピン・ボール!
ホネ・ボネの
ソコ ....
日が長くなるにつれ
主張を強める夕焼けの赤
それすら呑み込む灰色の雲
夕陽を吸収して膨れる黒
暗澹たる闇へ
夕と夜の狭間を埋めるように
燃える空を追いやるように
不安を煽るように
....
1.昔日
白いちじく
くるみ
黒ごま
凍ったラズベリ
松の実
メープルシロップ
海原のような対岸に向かい合って座って
きみが指をしゃぶりながら笑う
もつれる後悔
今 ....
骨折をした年の暮れ
左手で 年賀状を 書きました
蚯蚓ノタウチ回るような 面持ちで
心持ちだけは 穏やかに
ただ お餅だけは
何故か 食べる気が しませんでした
そろそろと流れる ....
鉛筆で、ノートのページに横線を引く。
上に白い入道雲を描く。
太陽は紙の外側にある。
雲と横線の間にもう一本、水平線。
横線と横線の間にあるのは、青い海で、
白く波打つのは風があったから。
....
120216
絵の具を全部混ぜたら
何色になりますかと
先生が尋ねたので
暗い灰色になります
と答える代わりに
空色になりますと
自信たっぷり回答したら
×が付いてき ....
十月の空 軽やかに
抜け落ちた天使の羽根
青へ青へと沈んで往った
解かれながら天の淵へと
いっせいに湧きかえる小さな羽虫たち
凝縮された生と死が充満した宇宙 裂くように
歩いて往く 衣 ....
それはとても柔らかくて静かな日だった
わたしは視力を失いかけている母の目を治すことのできる医師が
この地にいると聞いて はるばる この地にやってきたのだが
偶然にも その夜は、祭りの日 ....
150916
この石は瀬戸内海の青木石だから長持ちするんだ
黒が人気が有るけど、ほんとは白の方が良いんだよ
幼い孫の手を引いて祖父は真新しい墓を満足そうに眺めて ....
ブリティッシュコロンビア州の
オカナガンという湖に
オゴポゴがいる
いるか
いる いるか
体調は15m
頭は山羊のごとく
大海蛇の体
口がいつも苦笑いする
今にも、目撃される ....
時を放って
昇っていく夕日について思考する
青くときに淡い時代の切れはしのよう
葉が呼吸をする間に語り合う
そっと息を止めたりして
手紙に書くように丁寧に話をして
愛はとくべつ
....
安売りをしていたので
星をひとつ買った
命名権付きということで
相応しい名前を小一時間考え
以前飼っていた犬の名前をつけた
部屋の電気を消すと星は仄かに瞬いて
偽物みたいに綺麗だ ....
小鳥がついばんだ林檎だけ
落ちずに残ったとき
決してこの世は綺麗なものだけで
満たされてはいない
線路の左側を歩いていくと
虹に辿り着くと幼い頃叔父が言った
母について記すとき ....
塩
の花
爛漫に
舌に咲け
味蕾を奪え
ためらわずに
血流から浮かべ
肉体を結晶にしろ
死海の化石のように
海に行けないから
カラオケボックスで大声で叫ぶ
それが日常
毎朝5時に起きて
最寄駅へ向かうと
いつも作業着のおじさん
水曜日以外は毎朝いて
黙ってタバコを吸っている
おじさん ....
それはたとえば大量の膿をたたえたみちひきだっ
た、平面をいくたびかひるがえしながらすみわた
るひとしずくがある、つらなりは多重にすがたを
かさねながらはじらう振動をあめのおとのとおく
において ....
育てた罪を持って市場へ行った
飢えていたから金が
欲しかったのだ
金があれば食える
食えば生きていける動物に
僕はなりたいのだ
老練な仲買人は言った
自分で育てた罪なんか
売り ....
うまれた、てのぬけがら
まれにうまれたてだから
とりせつはやさしく
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