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わたしがうさぎだった頃
この世は赤いもやがかかっていた
花びら一枚にも手が届かないので
うつむいてありの行列を眺めるしかなかった


わたしがひなどりだった頃
飛び立ちたくて仕方がなかっ ....
生まれたばかりのきみは
ぽやぽやとした輪郭でふわふわとした軽さで
赤ん坊の手のひらにもおさまるほどの大きさで


あたためられてすくすく育つ
産毛はだんだん寄せ集められて太くなり
気付け ....
わたしたち、結婚しました
うす桃色の踊るような文字と
着物姿で微笑みあう男女の写真


はがきを持つ指の腹から
じわりじわりとあったかさが
組織の中まで浸透してくる
温度の正体をはっき ....
熱い光はただ重なって
そっと重ねられて


渋滞した道でせわしなく鳴るクラクションも
軽やかに散歩する犬の太くて短い声も
光に飲み込まれてかき混ぜられて
珈琲に落としたミルクみたいにぐる ....
橙色に照らされた木造二階建てのアパート
蹴飛ばせば簡単に壊れてしまいそうな垣根から
紅色の白粉花がその艶やかな顔を出す


やがて来る闇に飲み込まれてしまう前に
黒くて固い種子をてのひらに ....
泡粒の数だけ思い出があり
からからからと音がする


競走はいつでもいちばん最後
ひとあし遅れて着いた小さな菓子屋で
真っ先に選ぶのは瓶入りのラムネ


にじみだす汗を乱暴にぬぐい
 ....
あんなに耳障りだった蝉の声も
虫眼鏡で集めたみたいな痛い陽射しも
まるで色あせ始めた遠い物語


なだらかな坂道を自転車でおりると
向かい風がほんのわずかの後れ毛を揺らす
時折小石が顔を ....
夏の空が広く見えるのは
余計なものが流されているからだろう


小学生の頃の一番の友だちは
国語の教科書と学級文庫と図書室の空気
頁をめくったときの薄っぺらい音と
綺麗に並ぶ印刷の文字が ....
ミツバチさんのあ。さんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
わたしが変化していた頃- あ。自由詩16*09-11-25
言葉、へ。- あ。自由詩11*09-9-24
ハレルヤ- あ。自由詩21*09-9-16
初秋、夕暮れに- あ。自由詩20*09-9-9
夕化粧- あ。自由詩19*09-9-3
ラムネ- あ。自由詩13*09-8-31
夏休み- あ。自由詩22*09-8-26
かげおくり- あ。自由詩24*09-8-9

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