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秋の日に魚遡行して運河あり
鉄筋の錆びて曲がれる捨てた街
雑草が茂る空き地に蝶遊ぶ
高き塔 自由の名を聞く都市煙る
上腕骨 燃えて滴る髄の文字
海の深度が落す魚影
時刻む魚群深まる海の意味
明るさに愛と慈悲のみ栄えてる
音楽が満ちて今 ....
木の葉落ち風語るを聞き
光のために木の葉みな手を広げ
幹 黒々と明日を夢見ている
憑依を着ることもある悪魔よ
進化して天使になれよ人どもよ
退化して臭い嗅ぐ毛物悪魔ども
在って在る葡萄の房が黒々と重い
楽土の建設 妙法に永遠の命
勤行や焼香を秋に添える
神のため臍から咲かす蓮の華
風鈴の音が伝え得る寂光土
ビルの谷と寂 ....
秋風が浸みて骨が涼しくなる
大気の上澄みを透明に飲む
空気の秋を飲む毛細血管が開く
晩夏 影いとおしく繋ぐ
花という花は見ていない夏深く
飽くことなく日射 街に集めて
蝉 波のように満ちて冠水
炎天のアスファルトに霜など降らし
空蝉となりて謳い染める
冷コーヒー旨し晩夏の街
神道の皮剥ぎ取ってもウツロ教義ナシ
体裁の偉そうなダケ袈裟・束帯
野性らに歌謳わすほどに強くある
コロニーの都市満ち足りて自然なり
乱れたる人心が発す天変地妖
凧に乗る夢見し夜は雪の降り
晩夏のそっと過ぎゆく音が聞こえ
夜に信仰の大胸筋盛り上がり
蝉しぐれ木陰に落とす涼の数
南中の影短くて法師蝉
空近くなる横断歩道を渡るたび
救済の太子の声が地鳴かな
大伽藍権威の虫はウジャウジャ
風は浜茄子に戯れて流砂の時
嘘をつく浄夜の月に影二つ
始まりは雷落ち続けサードミレニアム
隊列の最後から来る者 我サタン
御堂にチャント響いて眠る堕天使
トカゲ手に乗せるほどに達成す
リザードや王が一日見入るもの
蜥蜴入る脳髄の古層じっと動かぬ
我感ず昔トカゲであった事
夏蚕ヒタヒタと夢の白い
1 光求め緑透けるほど見据えている
2 潮騒に誘われてゆく雲の先
3 月の出が遠回りした道照らす
4 神 息し丸木船乗る海潮の青
5 褐色の肉体は笑顔 南の人
....
清む朝に青い血に変える蜥蜴のごとく
摩天楼 谷間の光の乱れ走る
陽の垂れて炎天の街は赤子のようだ
青い血のほとばしり出る蜥蜴かな
悪王を蝦蟇の海へと捨てるなり
平地を山と思いて上りおり
意味の海電子の海で浴びきれや
ネットする一室まるで奥の院
与えれば与えられるなり世法なり
枯れ広野 孤独立つ影メモ一つ
楽土暮れ帰る鳥らの透ける羽根
風切ってショーウィンドーを姿見に
呟きが5・7・5を繰り返し放て鳩
蔓草の枯れたそばからフェンス錆び ....
白日や影踏むほどに湧き上がる
影なくし抜けた前歯に葉の緑
重力を凌いで昇る木の反逆
何一つ欠けてはならぬ我影なき故
透き通る腕で傾げる日傘なり
ミゾオ ....
萌えあがる緑は重く酸素の香
溶けだした雲飴のよう甘露の雨
灰の空 鳥の飛翔が天を切る
大気もみほぐしてくれて午後の三時
スプーンにグラニュー糖 山崩れる
陶器の肌スプーン当たる音
心の報告書から我一人
ヘビ娘冷えた喫茶にメール飛ぶ
血中を青く染めぬき涼をとる
夏サヤサヤと街角に流れ
兵隊の首が屋根裏にゴロゴロ午前三時
大鍋に歴史煮る電磁調理器
首が実 ....
神ヨベばカミ疾風の如くフク
カゼ吹いて心針先に集中す
ボウシから触覚の飛び出てナツ至る
キギの端緑にモエ出てソラ焦がす
神呼んで風ナギ倒すキギの幹
ゆらゆらと大空胚のイキをして
投句して波紋広がれ蓮池 濁
つぶやきは呪の声挙げる5・7・5
虚ろにてやって来るべき言葉待つ
神の意志雨の降り止み意味に意味
雲流れ天上の者らと会話する
見晴らして煙る都市には乾いた知
天使と菩薩の上澄みを飲む
「ユリシーズ」文芸室で白光下す
まず横に臥禅の奥儀まず横に
テキストに己遊ばせ長い夏
雨垂れが葉擦れの音を誘い出す
見渡せる地点に真紅の旗を立つ
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