前職を辞めた理由はって面接で問われてもねえ
誰もが正直に答えられるのだろうか

いやらしい上司にセクハラされたからとか
お局様に村八分されましたとか
かくかくしかじかで辞めましたなんて言える ....
雪の上に残る
踏みしめた足跡
一つ増えるごとに
私は素直な心を
取り戻していきます

小さかった手が
だんだんと大きくなるにつれ
大きな愛情から
逃げるように
離れた強がりの私は
 ....
{引用=

大さわぎでなく
ゆっくりと歩む
足の裏に感じる砂の感触を確かめ
けして温かくないけれども
柔らかく反発してくるようなそれを
一足一足 注意深く進まなければ、
見逃してしまう ....
いつもにこにこしてるから
すきになった

わたしのことすきなの
ばればれだから
すきになった

冬は夜がいいね
とあなたは言う
月へのいっぽんみちを
手を繋いでてしてし歩く
町で ....
雨上がりの午後が好き


光がこぼれる
パステルの街

どういうわけかうちのごみぶくろだけ
いつもあけられてしまって
中身がまき散らされているの

ある日曜の朝
母が困惑顔で言ったとき
それはきっと妹を狙う肉食獣の仕業に違いない
とわた ....
泣いているの?
きみが破り捨てた祈りが
わたしの掌にうずくまって
ぽろぽろと涙を溢している

こっちにおいで
抱き締めてあげる
温かい体温で
全てをのみこんであげよう

子供の頃見 ....
 
数センチの隙間から見る世界は、私にとって
とても、それは、とても薄明のような光景で
時折過ぎてゆく、子ども達の声が不思議と、
風船を飲み込んだようなこの喉に響くのだ。
 
枕元には、し ....
何が書いてあったのか
もう分からない
空っぽの封筒が
本の間に
古い思い出の
栞のように
はさんであった
大切にするでもなく
でも 忘れてしまわないように
あいしてる、
あいしてるよ

今日はいいたいんだ
いつもはことばにすると
びっくりするくらい
縮小されてしまうけど

ちょっとだけでもいいから
きみに見えれば
いいと思った
8月 ....
夜になったばかりの砂浜に
喪服で佇む一人の女
黒いドレスに黒いハイヒール
光沢があるのは纏められた黒髪のみで
女の黒い部分のほとんどは
艶もなく影と夜に吸収されている

波打ち際にしゃが ....
 いつの間にか捨てられていた 僕の渡したピアス

 何の予告もなく
   前触れもなく
 いつから途切れたのか 君の送信が

 
 何度 受信を選択しても

   新着なし   と表 ....
水平線に沈む太陽
空も海も何もかも赤く染めて
いつか私も溶けてしまえばいいのに

髪を揺らす潮風
コンクリートはまだ温度を保ち
冷えた体には心地良く
まるで君の温もりみたい

目の前 ....
お寺へ続く道
" 暑苦しいなあ "とか
" 夏、真っ盛りだな "とか
自分の気持ち
セミはそんなのおかまいなし

日が登ってから堕ちるまで
目 ....
電車でごじかんかかります
乗り換えはよんかいです

あんまり遠くに
いるもんだから
こっそりたくさん
泣きました

あんまりなんにも
わからないから
何度も途方に暮れました
嘘は ....
窓のない この部屋で
青い折り紙ばかり見ていた

ねずみ色と呼ばれる紙を
雲に見立てて 丸く切ってみても
雨の色は思い出せない

目をつぶれば
いつかの遠い夏の空が
果てしなく広がり ....
きっと
体の中の 心の臓と 言われる場所には
純白の 純白の 繭があって

そして
繭の中には 子供の時の私がいて
膝をかかえて  かたかた 震えているんだ

いまも
膝をかかえて  ....
くじけた気持ちが満ちてくるのは
自分が気難しいせいだ。

軟化した脳で考えさせ
萎えた手で持つこと

折れた足で立つこと
遠くなった耳に聴かせる
衰えることを許さないかのように
若さ ....
しわしわ

しゅわわな

かたちよ

おつかれ


てのひらが

からだを

もちあげ

よいしょ
ほめられるとすぐ
ちょうしにのるから
あんまりほめないでね

でもたまにはほめてね


そくばくはするのも
されるのもきらいだから
あんまりしばらないでね

でもたま ....
iPodから流れる
リロンのさわやか会社員を聴きながら
雨雲の去った青空を見上げてると
心も伸びやかに 
どこまでも泳いでいける気がする

いつか親友と走った道
うぶだけど どこかませて ....
薄く醒めた夜
いつも話しかけては
ほどけていくような

曖昧な痛みは
そっと舌を噛んで
気付かない振りをする

斜面は転がるために
あるのかもしれないね、と
君は云った

すで ....
夜みたいなひとだね。
あたしはあなたという
ひとりの人間を
しっかりたしかめたい
固体として概念として
あらゆるあなたをみつめたい
そして許したい
なにもかもを

まるの中でゆられて ....
ふれたいなら
うんと手を伸ばさなくちゃ

あいつは透明な空に
すいこまれそう

蝉はおもいおもいに
自己主張をして
太陽はこれでもかと
あたしたちを焼いて
アスファルトを
ゆらめ ....
太陽が昇り始め
朝がきた

キミとの
最後の夜が
終わった

寝不足の瞼に
氷を押し当てて
苦いタブレットを噛み砕く

明日から
どう生きようか

つまりは
キミのいない ....
いつでも鞄の中に折りたたみ傘

そんなこの季節は
私たちの生気を吸い取って
過ぎているんじゃないか

私たちの吐くため息ひとつ
雨雲にしているんじゃないか

そんな錯覚がマジになりそうなほど

鬱々と ....
やせっぽちのきみは
ちょっとやそっとじゃ
笑わない
女の子はなんでも
くすくすけたけた
笑うんだと思ってたけど

あっそこでは笑うんだ


栗色のベリーショート
奇跡の歯並び
 ....
 
 
○父

窓から庭のブランコを
眺めることが多くなった
あれにはもう一生分乗った
と言って
時々体を揺らす
背中が
押されるところではなく
支えられるところとなってから久し ....
ほとんどのことは
なんてことないんだよって
どうにかなってくんだって
教わったのは
病院の、ロビーで泣きじゃくるわたしに。
無言で母はわたしが立ち上がるのを待ってくれたね
何時間も
 ....
あなたには教えてあげないわ
そう言って海がからかうので
べつにきみから教えて貰わなくてもいいんです
そんなだいそれたことでもないし
いそいで答えをだす必要もないことですから
と、いくぶん拗ね ....
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