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少し 暗くなると
蝉の声は木の幹に吸い込まれてしまった
真昼の空は夕暮れの顔をして
いきものを迷わせている
雲の隙間
乱れ飛んでいる鳥たちの向こう
太陽は何処までも陽であった
光 ....
青い葉の露に溶け込み
雫は森を敲いている
朽ちた葉に 土に
滲み込んでいく
潤している
横たわっていると
流れる水の
奏でる音の中に
このまま流れていってしまいそうだ
私 ....
きらめく翅は昔のまま時を止めている
胸を針でつらぬかれて
整然と 並んでいる 蝶々
展げた翅は風に乗れない
標本箱の中で
宙に浮いたまま止まっている
壊れないようにからだの芯を避け ....