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ある国に住んでいる悪魔が
ある教会の美しいステンドグラスとオルガンと聖母子像と黄金の鐘と
そこで毎日祈りを捧げている敬虔な神父を激しく憎んでいた
彼は日が暮れると宵の明星、魔王に誓いをたてた ....
<風の記憶>
真夜中過ぎの嵐
窓辺で震えながら聞く荒れ狂う風の声
轟々という叫び
揺れる木々の一本一本に
神様が宿っている
翌朝は無残に散っていた
からたちの花
あめかぜの ....
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小さな南の島の
星砂の浜に
小さな青海亀が生まれました
波の泡のように柔らかな水色の甲羅を背負った
たくさんの子海亀たち
まあるいお月さ ....
いつもより遠出した散歩の途中
気がつくと僕は
古墳の前にいた
その古墳のことを
僕はそれまでただの自然の丘だと思っていた
『県指定史跡』と書かれた案内板に
黒い鳥が一匹だけ止まっている ....
青銅製の戦士像
錆付いた彼の硬い頬に
涙がひとすじ
流れてる
多感な彼女は
どこにいてもそれが分かる
神様のように優しい雲たちが
どんなに慈悲深く
覆い隠そうとしても
....
とろりとろりと
日が暮れて
お社の石灯篭の暗い影
僕の背丈より
いつの間にか長い
鬱蒼と生い茂る鎮守の森
空にはねぐらに帰ってきた鴉の
黒く騒がしい群れ
忍び寄る夕闇せかされて
....
丸い鈴の葉と
赤いリボンを生やした大きなポプラの木に
いつからかカメレオンが一匹棲みついた
僕はいつもプロペラ飛行機の窓や
鉄格子の向こうからそれを見ていた
彼はとても臆病な ....
新月
月が新たに生まれ変わる夜
世界は何処も彼処も
静かなる闇夜
時計の針が12時を回って
私の眼はますます冴えてゆく
カップには
黒真珠のように ....
嵐が過ぎ去ったばかりの
夜明けの海岸に
僕は僕の相棒の野良犬と連れ立ってやって来た
激しい台風が
思う存分 遠慮なく吹き荒れてくれたおかげで
夜明けの海の薄い水平 ....
その髪は毒の蛇
歯は鋭い猪の牙
青銅の手に 黄金の翼を持つ
彼女の姿を見た者は
全て石となる
神話時代の醜い怪物メデゥーサ
乾いた丘陵のうえの神殿が
....
最近では人の姿もめっきり少なくなった
街角の公園
細い木立の合間
ブランコが木枯らしに揺れる
寝そべり始めた太陽が
砂の上にいくつも影を落とす
錆付いた ....
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