有り触れた言葉の海で溺れてしまひさうな
有り触れた言葉の川で流されてしまひさうな
飽き飽きとした危機感が侵蝕していく中で
この手を握つて世界から私を連れ出してください
有り触れた愛情の ....
転がり滑り落ちる悲しみ空蝉
耳鳴りが音階と為って脳を支配する
狭い部屋に鍵を掛けて
目蓋を閉ざす深夜に
飛び交う金色の鱗粉
睫に落ちて悪夢を垂らす
苦い蜜を掬って
....
互いの杯を交わす
向かいの席で
微かに瞳の潤む
その人は呟いた
(今の僕は、昔より
孤独が澄んで来たようです・・・)
この胸の暗闇には
ずっ ....
と、その人は言った。
なんとも不思議に穏やかな笑顔で、
世界の涯へでも
身軽にリュック一つで出かけられそうなほど
軽やかな足取りで。
すべてはよりしろになる
悪しきものも
良いも ....
電気を消した暗い部屋で
月明かりの射す窓に向かって
扇風機よ
お前はやけに
凛とまっすぐ立ってるなぁ
夜風にふくらむカーテンと
何かを話しているようだ
いつも、月の中を巡っていた。
夜になると、いつだつて空に浮かぶ黄色い星。暗闇の中で一番明るくて眩しい星の中を、グルグルと彷徨っている。
月の中を想像した事ある?
表面は灰色のクレータ ....
雨日の闇は
底の見えぬ程に、深く
傘を打つ雫は
ひどく乾いた音をたてて
心まで
濡らそうとしてる
それは
儚いものを称え
明滅の郭を喩え
移ろう時を湛えて
恋しい者 ....
ふもとに自転車を止める
自転車ももはや山の木のように生えている
僕は山の記憶の泡に洗われ始める
かつてこの場所も辺境だったのだろう
山は人とは無関係な体系を
今も変わらず維持している
....
{引用=
〜言葉なきイメージから湧き上がる芸術的言語〜
}
■境界に立ち竦む ということ
常々、『物事の境界に立ち竦む』必要と、その重要性を感じてきた。
その境界とは、善と悪 ....
見えないもの
の 微かなささくれに
見てはならぬもの
を 見る
時の恩賜
穏やかな腐蝕
の 鈍い痛み
の 切っ先で
陰刻される
世界の
皮膜のささくれ
を 剥がす
あら ....
01
図書館にパンが落ちていたので男は拾って食べたのだが、それはパンではなくムカデの足だった。
02
図書館の大砂漠で遭難した司書は一週間後に救助され、その翌年には大統領になった ....
流れに逆らって風が吹くから
動けない枯れ葉が揺れる
時期尚早
焦って落ちた
若葉も揺れる
全くその夏と言えば
まだ6月だと言うのに
いつものように焦ってはじまるイチロクサンパチの祭りが
暑くて街 ....
『川沿いの空想』
老人は川沿いを
ゆっくりと目的地に向かっていった
すべての色を鮮やかに
太陽が今日も熱かった
泳げはしない川の
それでも綺麗な流れの中を泳ぐ
あの魚になりたい
水面を食むその ....
‘刃渡りを阻止する事が出来ません’
そう言うと彼は
右眼の中に頭を擡げ静かに鍵を剥がした
果たして可能であったのだろうか
彼が弄りと氷と明日を前にして
正しい選択をする事は
横切ろ ....
あんたの手垢がついたギターが埃を被っとる
もう弾かんからな
だったらなんで
弦の買い置きを置いたままなんかな
だったらなんで
こんなにすぐ手の届くところにあるんかな
仕事を ....
そういやこの曲を聴いていたときに
君はすでに死んでたんだね
なんだか不思議だね
僕がこんなに素敵な音楽を聴いているときに
君はとっくにこの世にいないなんて
あのとき僕はどんな思 ....
浜辺で
ざぶん という波音の方が
波より先に砂を砕いている
気がした
おしてはよせて
消える波
消えても消えても
繰り返し押し寄せる波
プチプチと砂 ....
息をするたびにまろびでる
わが同胞よ
生を見つめ/死はまだ来ん
と頬杖を突く
わが同胞よ
デカダンに酔い痴れ
バラックでババ抜きするあいだ
水底に澱 ....
男の腰に食らいついていたとき
わたしは自分がひとさじの情けを持ち合わせているのだと思い知り ました
穴
に成り下がるのではない
私が私であるだなんて
脳と性器とをひとすじの光で繋げるようなも ....
平成の詩壇がかくも無惨にしめじ付きまるで
腸詰めの中で育まれる豚の心性のような状況に陥って
しまったのは単に求められているものとあるものの食い違い
つまり良いものと良いとされるものの違いがバスケ ....
雨の日は
洗濯の日
真水だから
こころは洗える
泡立ちはいらない
真っ白になんか
ならなくてもかまわない
ノイズだらけのきおくが
雨に洗われて
見えなかったものが
ゆっくり
時間 ....
工場には
一つの巨きい機械が常に作動し
ベルトの上に運ばれる
「商品」は次々に仕上がり
( 巨きい機械を組織する
( 無数の小さい歯車達は
( 涙を流す、暇も無い・・・
....
きっと しぬなら
ここが いいな
口許に両手で
まっすぐに支え持つ
大切なものが
ひとつも目に入らないようなのがよい
最初からいままで何も知らず
何も持たなかったかのように
最 ....
上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる
太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている
....
野良猫を叱るために
名前をつけた
せっかく咲いた花の匂いを
ふるびたさかなの骨で
台無しにしたからね
眠れるはずの夜は
色が薄くて
もう愛想が尽きた
昨日歩いた川べりで
....
踏み外した大地に
交差する
踏み外した大地に
降り注ぐ
交差する
ちっぽけな
億万兆
降り注ぐ
ちっぽけな
億万兆
垂直に立っているはずだった
水平に見渡すはずだ ....
変質した皮膚の
いろ褪せるよりはやく
感情には羽根がはえて
山のむこうへおちていく
追わないことにしたんだ
みな 飛び去ってしまえばいいさ
私はここで
入り口みたいなきずの痕を ....
一瞬の寝覚めにまたたいた 陽の
照り返された羽ばたきに 影を見て
忘却の窓越しで永遠 ぽかんと寝そべっている
声を出しかけたまま息を止めて
かつての体温は記憶しながら
宇宙は何度も全 ....
鈍く
重い
灰皿のふちを
舐めたかった
かわいた舌で
逃がさぬよう
一心に
ただ
かわいた舌で
呼ぶことが
できなかったから
ただ
かわいた舌で
誰かでなく
私 ....
何をしたって嫌われるのに
気付かないふりをして(事実から目を背け)
人に好かれようと笑って見せた
その姿が何よりも気に入らないらしく
もっともっと嫌われて 嫌われて
存在を消したくな ....
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