すべてのおすすめ
うっかり鰐がのみ込んでしまったのは
薄緑色の胎動
耳をすませば夢まみれ
なめらかで脆い夢まみれ
耳をすませば種うまれ
まどろむ奥に種うまれ
....
選挙カーはすれ違う僕を威嚇するかのように
年増うぐいすの声をぶつけてきたので
思わず
避けてしまった
遠ざかるにつれて
ドップラー効果の適用で
声が低く転調されていった
「 ....
厚く
熱の積層する
太陽の谷間で
流水を浴びたいと
切望の淵
地虫は揚力を手に入れて
夏の途中、
蒸す草いきれは陰を追い
木々の葉をひるがえす
風もなく
....
雨日の闇は
底の見えぬ程に、深く
傘を打つ雫は
ひどく乾いた音をたてて
心まで
濡らそうとしてる
それは
儚いものを称え
明滅の郭を喩え
移ろう時を湛えて
恋しい者 ....
流れに逆らって風が吹くから
動けない枯れ葉が揺れる
時期尚早
焦って落ちた
若葉も揺れる
全くその夏と言えば
まだ6月だと言うのに
いつものように焦ってはじまるイチロクサンパチの祭りが
暑くて街 ....
『川沿いの空想』
老人は川沿いを
ゆっくりと目的地に向かっていった
すべての色を鮮やかに
太陽が今日も熱かった
泳げはしない川の
それでも綺麗な流れの中を泳ぐ
あの魚になりたい
水面を食むその ....