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虫だ
まるで
飛散する影みたい
なにかが 高架橋から
手を差し伸べる
亡霊の
薄水色の
枯れた枝だ
ピントのずれた
ミズドリの
滞空する世界
その小さ ....
ニット
帽子
頬
十六の島に染められた子
遠景と 自動販売機から出た温かい缶を左手に
少女として佇む
移ろいゆくあなたが
ひとり勝手に 丁寧に動いている
遠雷と時報 ....
ほら
真っ黒な風が
掃き付け壁みたいな傷と
戯れてるぞ
雑木林の真上で渦巻くものは
ボイラーから沸き立つ煙だろ
煤塵の腹のしたで
桜色に染まる三日月も
呼吸器の音色も まっ白い ....
煉瓦も煙突の梯子も
宵に馴染まない
うっすらと蜜の匂いで
遠くの空は、山猫みたいだ
人が通り
加湿器が見え隠れする
冷たい錆がべっこうの窓を往来する
心細い釘に守られて
行灯は ....