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夫があまり鋭く見つめるから
わたしはしだいに削れてゆく
夫と婚姻関係を結んでからのわたしは
もう余程うすっぺらくなったらしい
強く手を握られると
きしゃり と指ごと潰れるから
か ....
父さんはニ層式洗濯機の中で
ぐるぐる洗われている
家族みんなに
臭いって言われるから
姉さんは乾燥機の中で
父さんと同じように
だけどひっそりと回っている
好きな ....
もともと世界は一連の階段だった
一段一段に彼がいてあなたがいて僕がいる
その下には彼とあなたと僕のご先祖様がいて
「あ」が「あ」になるように「さ」が「さ」になるように
首をひねって
....
あなたはとても照れくさそうに笑うそれを見るとわたしは無性にいとおしい気持にあふれる
(わたしたちの愛に余裕はないのだから)
偶然だねとかいっしょだねとか聞くとどうもその手には弱いみたいあな ....
唐突に重い身体を感じて夢から覚めたと思い知る
薄い霧のかかった感覚を占める温かさ
髪や腕を撫でるもの
きれいなあなたのゆび
反射的に目を開いたけれど
覚悟 ....
真っ白な紙をたくさん束ねた
大きな自由帳をもらった
どんな色を使ってもいいけれど
必ず自分で決めなさいと言われた
罫線もマス目も何もない
分厚い自由帳をもらった
どこへ持っていって ....
私は砂糖菓子で出来ている
科学者の興味で作られた
私の体は砂糖菓子で出来ている
誘え
誘えと
中から声が聞こえる
あまい身体で男を誘惑しては
愛されることに溺れていっ ....
背中を合わせれば見えないものは無い
けれど振り返れば互いしか見えない
音楽のことを考える時歌を歌いたい。
歌を歌うと何かができる。
CDショップで音楽を買いたくなる。
歌を歌うと音楽の大切さについてわかる。
歌を歌うことは大切だ。
歌を歌うと面白いことがわかる ....
いっそのこと
壊れてやろうかと思ったのです
午前8時20分 正確には午前8時19分49秒
あなたは怖いものでも見るような目つきで
私を見ると言葉でない何かを叫びました
それから物凄い ....
燃えるごみを
ごみ捨て場へ持って行こうと
外へ出たら雨であった
透明のビニール傘を差して
そのままぼんやり空を見上げる
水滴の降ってくるさまが見えるのが
大変おもしろい
周囲でく ....
先程手紙が届きました
丁寧に書かれた我侭と
殴り書きのあなたの名前
返事を書こうと思いました
突発的な唄の歌詞と
嘘を込めた自慢の詩達
「何をしたいのか何が言いたいのか」
....
朝起きて冷蔵庫を開けたら
祖母が入っていた
さみくてさみくてなんだかも
生ぎてぐのがいやんなっちま
なんて言うので
そんなに寒いのなら
もう死んでしまったっていいんじゃない
と思った ....