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右曲がりの坂道を
30歩のぼったところ
雨上がりには
アジサイが
酸性やアルカリ性に色づくので
それならば涙は、と
通りすがりのにわか雨を
ふたたび
つま先に
ひと ....
四角い出窓にひじをついて
わたしは お空をみてました
ときどき 桃色の雪が
紛れこんではちらついたりして
世界は彩られたりしましたが
わたしは お空をみてました
ひじをついたまま
....
五感をはたらかせて
すれすれ を
歩いてゆく
波が薄く寄せるので
バランスを崩しながら
逃げよう
追いつかれたら
もうそこは恋で
出たり入ったり は
さくら貝 ....
夜の手のひらに
背中を押されて
チラチラと散らばる
港の明かりを見下ろしに
いつもここへ来る
デパートの裏の階段にすわり
わたしたちは
寄り添ったり
ときどき 無口になったりし ....
ここに来るまでずっと
つま先だけ
見ていた
たどりついたとき
誰かが待っていて
ほめてくれたりする
どこかはどこ
軒下に避難した朝顔も
こうべを垂れるので
昨夜から宿っていた ....
伸ばした腕の先の
手のひらの先の
中指の先っちょが
触れるか触れないか、
のところまで
夏が。
列車を待つ顔たち
照らす陽射しの角度を
知ってか知らずか
右へ傾く
....
気がつくと きみは
魚になってしまっていたので
ずっと
きみを知っていたのに
はじめて見たような気さえした
望遠鏡をのぞくと いつも
波がよせては砕け
飛び散る
セロハ ....
その時のぼくには
どんな光も
光 だった
高層ビルのあちこちでは
松明が焚かれ
人はそれを
空から眺めては
都会などと
よぶ
灯台ならば
向かうべき先を
教えてく ....
重たい表紙を開くと
『夏の項』だった
限りなく続く
かのような 草っぱらの
ずっとずっと向こうから
薫風に押されて
あるいは 乗って
バラ色に染められる
その足跡
....
今から
向かいます。
と
彼方からの発信を受けて
待ちきれずに
窓枠から
片目をのぞかせる
目の中に飛び込んできたのは
方向音痴の雨粒だけだった
そういえば
....
新しい長靴に浮かれて
水溜りを探し
右足をそっと入れると
次の瞬間 目が回り
どこかに迷い込んでしまった
「噴水の広場」
あやまって
噴水の真下に立ってしまった
と 思 ....
今日が終わり
明日がやってくることの
必要
今のこの瞬間が
あっという間に
次の瞬間にうつりゆく
必要
ななめ45度の見上げた視界
うす曇りの送電線を
キラキラとまわ ....
街外れの小さな本屋で
彼女と偶然再会した
本屋でよかった。
きりりとした空間では
おしゃべりにならずに
すむ
彼女が手にしている
水色の背表紙の本が何であるか
なんてことは
....
「ラムネ買って」
「チョコレート欲しい」
そう言ってねだる子供達に
困り果ててなお笑顔の母親たち
あのころ
欲しいモノといえば
せいぜい駄菓子屋のおばちゃんに
100 ....
風が吹く中
残った一つは ひどく必死だ
仲間たちはみな
とうの昔に 風に乗って
遠くに行ってしまった
いや もしかすると
意外に近くにいるのかもしれない
しかし 残った一つは
....
押入れに顔をつっこんで
ぐるりと見回したら
天井の端っこに
小さな穴ぼこがあいていました
穴ぼこの向こうは
下から見る限りでは
ただ ただ 暗闇でしたので
なんだか怖くなったぼくは
....
入り口は すぐに見つかった
もう何年も
ここでこうしています
と、いった具合の
あぐらをかいた白髭の老人から
地図を手渡される
地図はすべて
記号化されており
懐中電灯はな ....
眼下に広がる海では
白波が立ち
うさぎのごとく 跳ねている
岩を打った波のしぶきが
わたしのところまでとどき
涙のごとく 頬をつたう
それが波だ、と言い張るわたしを
それは涙、だ ....
ぼくたちが住む
この星の
実態を知るべく
ならば
地球を割ってみよう、と思いついた
ぼくがやらないにしても
いづれ壊れるみたいだよ
と
誰かが言ってたし
それなら いいよね
....
恩を仇で返しやがって って
誰かに 言われちゃったけど
仇を恩で返されるのに比べたら
よっぽどましだって
ぼくは
そう思うんだけどな
自転車に乗って
ここまで 走ってきた
もう どのくらいの間 こいでいるだろう
と、いうよりも
いつから 走り始めたのかさえ
走り出した頃は
まだ ペダルも軽く
少しくらいの向か ....
曇り空にだまされた
終わらない夜を
誰もが 夢見てた
幻想にかこまれる
限りない時間
誰もがみな 求めてた
嘘をつくのは終わりにしよう
信じることがこわくなるから ....
目の前に棒があったので
それにつかまりながら
ぐんぐんと高いところまでのぼっていったら
ぼくは 雲の上に立っていた
正確には
雲の中といえるかもしれない
なにしろ
上を見ても ....
昨日の夕やけを
ぼくが持ち帰ってしまったことを思い出して
朝起きて、あわてふためいた
夕方までに返さなければ、
そう思いながらも
休日の時間の流れがぼくを誘惑する
珍しく
....
はらぺこなぼく達は
いつも何かを食べている
それはご飯粒に限らない
時にメディアから流れ出る
時に2軒隣のスピーカー
はらぺこなぼく達は
道端の石を拾い
それを 空に飛ば ....
もう どうにもならないと判り
前にも後ろにもすすめずに
つり橋の真ん中で たちどまっていた
ここまで来ただけでも いいんじゃない、と
きっと 誰もが口をそろえる
けれど そんなことはどうでも ....
このレールの上を
たどっていけば
きっと キミにたどりつくのだろう
レールは まっすぐだろうか
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