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やたらと動きのよい男は
チーフを取り出して涙を拭う
そして顔を傾けて囁く
女は台本通りに今宵二度目の愛を誓い
嗚呼、悲劇などないのだ、と
そして舞台袖の暗がりでは
黒髪を撫でつけた ....
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ ....
今日の夕食は、牛のステーキだった
レアにしろ、ミディアムにしろ
それはもう食べ物にしか見えなかった
それはほんの少し、葡萄畑の匂いがした
僕達は一瞬だけ、目一杯の緑
風を感じてしまったのだ
....
ユーフラテス川
という川の名前が
何故か印象から消えないのは
ユーラシア
ユグドラシル
など
ユから始まる名前が
好きだから
なのかもしれない
もし世界がユから始まるなら
僕はなん ....
宇宙が目眩をおぼえている間
数億年の細胞 私達はその目眩の中を浮かぶ旋回する銀の羽根
{ルビ彼=か}の呼吸によって翻弄される綿毛
延々と降下 そこに支配などない
人が花びらを一片一片千切る ....
いろはにほおずき くちづけしたね
緑のこころはあかい頬だった
いろはにほしくず ながれておちて
二人のなみだと彗星だった
いろはにほのぐれ ゆうやけこやけ
あなた ....
僕は虫籠の中で 君と話している
無邪気な網はいつも心たちを翻弄して
突然小さな籠に閉じ込めてしまう
僕らは籠の中だとも知らずに彷徨う
(くるくると)
弄ばれた仲間たちに次々と ....
朝はとっくに過ぎてしまった
もう落ちているのか、昇っているのかさえわからない
空への落下
それは終着点のない落下
愛は慎ましくて脆い
また別の愛はあまりに壮大で狂お ....