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思い出が劣化する
音も色も失った浜辺
貝殻に耳をつけて
波音が聞こえたことなんか
ただの一度もなかった
青白い顔の人々が
忙しなく泳いでいる
新宿二丁目交差点
人波に飲まれないように
君と手を繋ぐ白昼夢
酸欠気味の僕へ
人工呼吸のキスを
頂戴
鼓膜の柔らかい部分
ふいに響く ....
静寂は痛みを内包する
そう教えてくれた君の
頁をめくる指先を
真剣な横顔を
心の底に沈めて
眠らせる記憶
らせん階段を登り
3階のキャレルへ
君の残り香を探す
八月の図書館
....
あの人の奏でるベースの音が
腹に響いて
湧き上がる感情に
名前を付けるのをためらった
本当はその指で
乳首を弾いて
あたしを高い声で
啼かせて欲しかった
腹に響く重 ....