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透明なので正座して視る 秋陽
銀河の尾が見えるような青空だ
常緑の緑を眼が食べている
各々が異界へと行く書を携えて
書を取ると旅始まるだろう 今 ここで
長い夢の中で 秋分を迎える
シルクのパジャマ着て 木星周回軌道へ
重力を打ち消すような秋の陽 ....
秋のある場所に走っていって
風は勇気のありかを知っている
冷めはじめた空気を味見する
通行人流れて そっと見詰める瞳
街の角角に立って祝福している
各都市が目覚めの声を挙げていて
{ルビ朝寒=あささむ}や子宮の奥へしのびこみ
初秋の路上に晩夏わだかまる
塗りたての青あざやかに秋の空
コンビニで桃缶さがす風邪の人
ほおずきが臓器のようにおち ....
言葉のカケラ集めて巣を作る
ほの白い繭玉昏い寝間のすみ
蛍光下 本を読んでいる君がいる
残暑に解けているヒモ結ぶ
こことそこ無名の余白に虹が架かる
日没が誘う秋の夜の暮れるを待つ
孔雀さまよえる詩人に園開く
命の華らに梵天の配慮は水やり
....
月面のダビデの像に薔薇の花
月の石 持ち帰りて地球重くなる
惑星探査にボサノバ携えて行く
高き塔 自由の名を聞く都市煙る
上腕骨 燃えて滴る髄の文字
海の深度が落す魚影
時刻む魚群深まる海の意味
明るさに愛と慈悲のみ栄えてる
音楽が満ちて今 ....
木の葉落ち風語るを聞き
光のために木の葉みな手を広げ
幹 黒々と明日を夢見ている
花守る刺す飛ぶ火なる蜂であり
左腕 巻かれたる記章 包帯なり
魂の裸体しずかに座りおり
夏 その影を集めて 静かに
秋の陽射し 夏 思い出のみ巡る
夏が死に絶える 秋の雲が見える
幽霊は短い昼の闇に立つ
光にも灯にも痛みの降りそそぐ
紙ひとつ千切る間にもう字を忘れ
とどろきが光を越えて芽を撫でる
破壊しにでも破壊と ....
晩夏 影いとおしく繋ぐ
花という花は見ていない夏深く
飽くことなく日射 街に集めて
胸中に正八面体 回転している
心器に列島も入る あれが岬
空のもっと高みへと落ちてタバコ吸う
野性らに歌謳わすほどに強くある
コロニーの都市満ち足りて自然なり
乱れたる人心が発す天変地妖
凧に乗る夢見し夜は雪の降り
晩夏のそっと過ぎゆく音が聞こえ
夜に信仰の大胸筋盛り上がり
蝉しぐれ木陰に落とす涼の数
南中の影短くて法師蝉
空近くなる横断歩道を渡るたび
解放す切ってあげよう小我の指
MUランド蝉鳴く声に浮上せよ
一日 手を動かして汗かいて
発汗の快楽忘れまじ太陽の友
救済の太子の声が地鳴かな
大伽藍権威の虫はウジャウジャ
風は浜茄子に戯れて流砂の時
嘘をつく浄夜の月に影二つ
インコ空所の籠に飽きず
私が世界を閉じ込めるカゴがある
ゼッタイ空域から出られぬセントウキ
夏の虫 部屋のあちこち むれでいる
イジメが心突き破る
テキストに己遊ばせ長い夏
雨垂れが葉擦れの音を誘い出す
見渡せる地点に真紅の旗を立つ
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