すべてのおすすめ
五月の夜が更ける
上限を過ぎた月が
丘々を 森を照らし
小さなこの庭を照らしている
ほの甘い空気の中には
すでに夏の気配が かすかになやましく
ひそやかに 息づいている

室内では 夜 ....
病んだ春がせまい庭の片隅で
青ざめて弱々しい翅ばたきの音をさせている
だから
溜息しか出ては来ない

通りの向こうの古びた窓には
どこか見憶えのある白い顔
うすら笑っているような
うす ....
病院の長い待合い廊下に坐って
考えている
私の気はたしかなのかと
時々 呼び出しに応じて
いくつかの個室のどれかへと
人が 入ってゆく
そしてやがてまた出てくる
入ったまま
出てこない ....
それは 破綻だった 小さな部屋で
はじまっていた 壁が不必要に白すぎて
かといって 何を置けば あるいは ただひとつの
窓に 何色のカーテンをかければ その白が
中和されるのか わからなかった ....
甘雨さんの塔野夏子さんおすすめリスト(4)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
五月の夜- 塔野夏子自由詩8*09-5-17
病んだ春- 塔野夏子自由詩4*05-3-27
外_来- 塔野夏子自由詩11*05-3-5
カーテン- 塔野夏子自由詩8*05-2-25

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する