すべてのおすすめ
ゴブリンのゴブレットには
詩がもられている
ふゆるはるる
スイートピーひとつで
羽の生えた船が作れます
ほらこれはキール
冬に婚ふ
秘めがちな姫君
パエトーンの落とし子たち
....
詩人がどんどん集まって
目玉と言葉をぐりぐりさせて
自分が一番すごいのであると
くるくるくるくる喧嘩ゴマ
困った山猫裁判ひらいて
ご存知通りの判決ですが
森のドングリ大漁なれば
小鳥 ....
こと座は言座、晩春の
明け方の空で奏でられ
いちごは一語、苺じゃなくて
けれどもそれぞれ甘酸っぱくて
苺の一枝髪に挿し
三々五々とイチゴ市
苺の灯りを手にかざし
一期一会と参 ....
鉄琴ではなく
木琴でもない石の琴
あれは石琴なのです
世界各地のストーンサークル
少しサイズありますけども
それはもちろん
時を測るための天文台でもあったことでしょう
暦は抜き ....
街に出ると
街に溢れているひとびとが
数で私に問いかけてきます
あなたは誰に会いたいの
図書館に行くと
きちきち並べられている本たちが
さらに無言でたたみかけて来ます
あなたは何が読 ....
雨の日のヤマネ
からつむり
生まれたばかりのアメフラシ
カマキリ
なんの夢を見てるのだろうね
ぱたぱたする
そのしっぽのその下に
小さな太鼓でも置いておこうか
おいで
秘密基 ....
卒論はハナモグラ語
ハナモグラ語における
平均異なり語数について
修論は異言について
非習得言語に対する人間の場面依存的翻訳能力
霊媒は何語で喋ったかということ
もちろんどちらの論 ....
石の詩を書きたい
原石などではなく
その辺のただの石っころりんの
ひん岩とか、けつ岩とか、あんざん岩とか
まずその名前
貧血とか安産みたいだよね
それから
掘らなくても川原に転がって ....
巡る季節のメルクマールは
春なら山吹色繚乱
秋なら様々紅葉だろうが
夏には草が深過ぎる
朝顔 向日葵 鳳仙花
白粉花と 夕顔と
露草 ねじ花 百日紅
小学校の夏休み
街を離れて ....
ガンダムではなくて
数学のゼータは
素数の秘密とか
いろいろなこと良く知ってるらしくて
ほら
フェルマーの最終定理なんかもね
数学者や計算師たちは
はるばる訪ねて行ってでも
いろいろと ....
さらさらと吹く風に
合歓の花が揺れている
北半球の夏は今
南半球の夏は今は
こちらから見て太陽の向こう
地球の軌道の
ちょうど反対側
赤道の向こうの
コットンツリーやブーゲンビ ....
歌でも歌いながら気楽に行こう
自然淘汰なんて
誰が生き残ってもいいんだ
最適解は一つじゃない
絶滅してしまったものと
うまくやりすごして来たものとの差なんて
ほとんどはただの成り行き
....
砂漠ならばいい
砂漠のヒキガエルのおなかにシリアルナンバーが
あったというならあったのだろう
アーティフィシャルなヒキガエル
けれども日曜日の遅い夕方
ふと目をやった河原の石に
なぜバ ....
恋は未必であるがよい
いちいち詩にはせぬがよい
俎板の上で涙のあらい
泳げよ空にコイのぼり
喉元すぎれば熱さを忘れ
こいこく
かんろに
かぶらむし
自分の恋をネタにするなら
....
美しく
燃え上がらなくていい
キリンとか時計とか蟻とかダリとか
ひとでもひとでなくとも
君がそこにいて
「僕って誰」と問うのなら
君の顔や肩をぺたぺたとたたきながら
「君ってこれ」と ....
キャットフードや昆虫ゼリーのコーナーに
バクのエサ、タウリン強化だそうだ
獏おいで、ごはんあげる
獏おいで、何が好き?
売ってるやつじゃなくても食べるよね
生き物にエサをやるのは楽し ....
印欧祖語は滅亡済みです
子々孫々のそれはこれからですが
船という言葉を持ち
どこか大きな湖か川か
とにかく海ではない水のほとりから
雪という言葉を持ち
白いものが舞う中を、覆う大地 ....
将来、遠い未来
アスファルトはとても良い示準化石になるそうです
三葉虫なら古生代
アンモナイトは中生代
アスファルトなら今ぐらい
日々降り積もる詩の数々はどんな化石になるでしょう
日々降り ....
名もなき花という言い方がある
名もなき花はたいてい
名もなき花を見かけたり見つけたりされる
でも
毎日一緒にいるクラスメートから
やぁ名もなきクラスメートさんって言われたら
変な気持ち ....
現代詩は難しい
まず発音が難しい
ローマ字で書くとge・n・da・i・shi
軟口蓋破裂音だったり歯茎破裂音だったり摩擦音だったり
口に出すからには覚悟がいる
語末の[si]っていうとこまで ....
喫茶クラムボンは
小さな谷川の水底にあります
室内の照明はもちろん幻燈
ではなくって
窓からの水明かりだけですが同じ青です
マスターご自慢の
かぷかぷカプチーノは350円
代々の ....
どの星座も
夜更かししたり
早起きしたりすると
次の次の季節の分までは昇って来ている
ただ
ずいぶんと深更なので
それをだれかと一緒に見るようなことはあまりない
明け方のアンタレ ....
百三十七億光年彼方の
兜率の天のマリンスノウ
シュレ猫とヒッグスのピッグス
いくつもの眼差しが
宙に浮かんでいます
それぞれの波長に見開いた目をもって
あれらは祈りの小函
見届け ....
裏庭の{ルビ姥薔薇婆=うばばらーば}は薔薇を愛している
薔薇のネームレス
薔薇のシノニム
薔薇という名前のピース
何もかも愛している
生殖器としての恋矢は
それはカタツムリたちの話
....
言の葉の海という
楽しげに
きまじめな顔して
ありがたそうに
詩人たちが口にする
いながらにして
日がな一日海を眺めて
語り合っている詩人たち
けれど
漕ぎ出すものたちは ....
音楽の教科書の
バッハやベートーベンの顔にいたずら描きするのは定番
けれどもなぜか社会科の資料集が
消しゴムで消せちゃうカラー印刷だったのでした
それにふと気がついて
それでふと思い立っ ....
本性をあらわすという
馬脚をあらわすという
さて骨まで馬かもしれないが
馬の脚はやっぱ見た目馬の脚であって
豚足でも牛の足でもないのだろうし
頭のほうだって
牛頭やら馬頭やら
あれも ....
薔薇には昔、言葉があった
既にばらばらになって久しい
薔薇のバベル
バビロンの薔薇
ソロモンの薔薇
ミノタウルスの薔薇にはアラクネのレース
アンデルセンのナイチンゲールは
月季花と宇 ....
アイ、ポエット。
君よ知るやその三原則
いったい誰なら
真に詩を弁えているなどと言えるだろう
有るか無きかの何かの在り処
きっとどこかにはあるって
つまりそれが
見失って以来久し ....
洋上の桜前線
ありがとう、ようこそ
今年もこの島々を見つけてくれて
スルーしないで訪ねてくれて
明るい午後六時
三月の十月桜
ひとたちはみな暖かくなると桜が咲くと思ってる
冬の眠 ....
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