あんたなんかね
あの時あたしを
見捨てればよかったんだよ
三十半ばを過ぎていた
あの時僕は妻と結婚した
僕の意思で子供をつくったために
安定した職に就いている
幼なじ ....
世界を爆破しようと言って
銃火器を想像したならあなたは私の敵です
世界は勝手に爆発していると
目を閉じて微笑んでいるあなたなら
私の同士であると思います
どうぞこれからも一匹狼として
殻の ....
友よ
あなたの痛み
こころで
だきしめよう
同じ重さで
きみの左胸をすりぬける
すこし気の早い夏のあらし
ぼくは痛んだ胸をうけいれて
ポエティックな名前をつける
風が強すぎるから
騒がしい街が
まるでおだやかな森 ....
ねぇ
あんた
まさか煙草なんか吸ってないよね
まだ若かった僕は黙り込んだ
あたしと煙草
どっちを選ぶの?
まだ若かった僕は
次の日
彼女 ....
つもりにつもる
ぶうたれた
日日に
ひとのひとたる日日でもって
かたりかける風があった
くちうつしに
みるみるふきこまれた
ひとつのおくられた風は
ぶうぶうたれる
日日を臓腑を
....
水に触れると
懐かしくて
飛び込みたくなるけれど
息が出来ないから
死んでしまったあの人や
まだ生まれていないその人は
水の向こうにいるのだろう
何度も水に触れると
く ....
糊の効いた藍染めをくぐり抜けると
石鹸の香りがいらっしゃいませと迎えてくれる
散歩の途中でみつけたお風呂屋さん
モクレンの香りに誘われて迷い込んだ小路
朝夕通っている駅前通りとはさほど離れ ....
{引用=
人体なんてものは
ただの
いっぽんの管と
つめたい椅子の上
炭水化物や窒素や湯が沸するのを待つ七分間や
この壱拾円玉やアイベツリクや若年性痴呆や
通過してく、それぞれの…… ....
ごはん食べるのがちょっと遅かっただけで
服を着替えるのにちょっと手間取っただけで
殴られて蹴られて
挙句の果てに殺されてしまったその子の名前を
誰が呼んでくれるというのだろう
助けてって ....
一度にたくさん、ではなく
そろそろ、と流し込む感じ
絶対濃度を持たない空気は
放流の力で簡単に色を薄め
侵入者だったはずのものが
気付けば当然になっている
さっきまで開いていた花は ....
見えているもの
それが少し
へんなものであっても
僕らは生きることに
必死だ
街ですれ違う人たちが
冷蔵庫だとしても
見えているもの
それが少し
へんなものであっても ....
帰り道は
いつも心が弾む
悲しいことや
辛いことがあった日も
雨の日も
雪の日も
いつも同じ道を辿り、あなたが待つあの家へと歩いて帰る
どんなに疲れていてもどんなに悲しみにうちひしがれていよう ....
見も知らぬ
濃い緑の葉を拾った
落ち葉では
あったが
少し表面が艶を残し
生きてきた軌跡を
浮き彫りにしていた
その人の言葉は
繰り返し響いた
....
観覧車の回る速度と
自転する地球の速度が等しい
わたしは丸い窓から
母を見ている
南中する
太陽と同じくらいの
かつての父の高さから
父はひとつ先の
観覧車に乗ってる
....
風に吹かれて揺れるように、
見えない未来を照らす空は、
無責任だから優しくて、
無責任だから憎めない。
だからわたしは、この空を嫌いにはなれない。
終わりを知ってしまう ....
たかのり君
と呼んでしまった
生姜焼き定食のことを
もちろん
たかのり君が
生姜焼き定食であるはずはなく
けれども
一度そう呼んでしまえば
そのようにも思えてきて
こんがり ....
桜が咲けば桜が散る
蝉が鳴けば蝉が死ぬ
山が色付けば山は枯れる
雪が降れば雪が溶ける
太陽が喜べば晴れてくる
山 が怒れば山が崩れる
海 が哀しめば嵐になる
空 が楽しめば風が ....
やらかく、笑む
陽を集め、下
り くだる
雪の青さ
石に 当たり 砕、け
凍返る 先々、に
熟した白、の
息をふわ り
さら
さよなら
名残 ....
木蓮の花の咲く頃
春は野に満ち
その香り穏やかなり
木蓮の深紫な色は 生命の鼓動
木蓮の白き色は 明日への希望
木蓮の花が咲く頃
雨もやさしく
そぼ降り煙 ....
青い
青い空 輝いて
こんなに綺麗な空は
もう一生 見られないかも知れない
機関車は弛く曲がって
白い煙りを高く吐く
葉っぱ達が緑に眩しかった。
僕は右手にやかん左手に枕 ....
{引用=
(ポエトリーリーディング:http://www.myspace.com/slymelogue)
}
ギザ十で買えるものは 小さな春でした
ぼくとあなたの帰り道
木枯らしぴゅ ....
旅芸人の吹く笛の音が
忘れかけていた哀愁を呼び起こす
自分にはもうなれない
夢を追い、人々に夢を与える人々
漂白民が時として定住民にもたらす羨望と憧れのように
彼らもまた私たちに触れ ....
どこかの畔を歩いていると
とても微かな音がして
それは体のようでした
背びれが少しだけ切られ
ログハウスで休憩することにしました
コーヒーを飲みながら
そのことを思いだしていました
....
とある真夜中、の事
苦味薫る、珈琲缶を片手に、握りしめ
渋さを漂わす、煙草は片手に、塞がった左右
(煙草、吸いながら、飲み物を口に、含む人っているでしょ?)
それでも唇 ....
粒のわたしは憧れていました
見えない世界を思っていました
地にしみこむ者たちも きっと
一度は考えたことがあることを
それは、雨のうえのせかい
みあげたところは真っ白 というくらい
遠 ....
追憶は、雪のようにそっとほどけていった。
舞うように迷うようにさ迷うように
夜明けまで踊っていられる?
「お安い御用よ」。
静寂の泉に息を流し込みながら
雪のように
沈 ....
空を舞う白いなみだ
近く遠く
リフレインする
乳白色の風
手のひらに
あるものはすべて
目を閉じていても
哀しみは
感じない
だけど
何故だろう
....
誰もこの苦しみに気付かない。今日をひょいと乗り越える奴らが妬ましい。
賞味期限切れ、落第、なんでもいい存在、ただの風景。つまらない試験を受けて、うだうだ受け答えして、どうせ切り捨てられる仕事にや ....
もうずっとずっと昔のことだ
公園でかくれんぼをしていた
わたしは見つからないように
自分よりも背の高いしげみに隠れた
しゃがんでふと斜め上を見ると
大きな蜘蛛が巣を作っていた ....
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