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{引用=
鴉の眼に宿る一閃の煌きが人々にとっては畏怖でしかなくとも
夕暮れに戻った巣の中では献身的な愛を育む母鳥であるかもしれない
そう言ったおまえのイメージからははっきりと
精巧な素描の上に ....
{引用=晴れやかな正午に
土砂降りの深夜に
ショーウィンドウ越しにわたしの海辺に寄って
砂浜で輝く貝殻を拾う
追い越して先回りする足取り
空瓶がひとつずつ埋まっていくたびに
はばたきの向こ ....
{引用=
図書館へ向かう碧いスロープの
脇に咲く珊瑚の合間を縫いながら
ゆらゆらとスカートの尾ひれを漂わせて
記憶の深海へと迷い込む
見たこともない
七色の藻屑を拾い集め
繰り返し剥 ....
断片的に腐敗してゆく
囚われの大地に
種子が落ちて芽吹き
雨が枯れようと
禍々しさのない陽に
両の手を広げ
受け入れる
知識を持たず
本性に従って生きるものたち
裸の木立 ....
{引用=
どれほどの心が割愛されているかを考えれば
事象としてのみ繋がることを選んでゆく日々
シーニュの隙間から零れ落ちてゆくものらの
見えない表情を想うほど愛を思い知ってゆく
あどけな ....
声
八月の
舌の上で溶けてゆく氷
その所作
吐息
歯
の並びを
ひとつひとつ
読み上げる
その要約の中に
静かに埋もれてしまいたい
針を
正午に合わせた時計が
生物的な誤 ....
砂漠には
牡牛や熊や鳩や鷹
大昔
それらすべてはひとつであったと
髭づらの人が
乱れる息を
掌の中
上手にすり合わせ
微笑み
「悪疫は煮沸消毒いたしましょう」
「悪疫を煮沸消毒いた ....
{引用=
「おはよう、
せっせとお弁当箱に昼食を詰める
この世界のなんらかに収まりなさいと
話しかけてくる忙しげな背中
通学路に捨てられた雑誌には
艶びかりする牡牛の角と蛙の屍
女の子の ....
{引用=
旅群の影に腰掛けて
静かにナツメを噛んでいた
夜露に濡れた
クサカゲロウの卵塊が
孵化した途端
光に溶けて
満ち欠ける月が映る
瞳を抉り出し
過去を刻んだ証人として
....
{引用=
紙上に佇む
痩せ細った枯れ木
磨り減ったペン先がつけた
掻き傷の隙間に
深く根を張るインクの滲み
どこに行くとも
なにを残すとも
示さぬままに
埋まってしまった行の終わりの ....
{引用=
不完全な過去 不確実な現在 無知な未来
・
カスタネットの赤と青が嫌だったから
いつも校庭のすみっこで地面に円を描いてた
繋ぎ目がゆるんで共鳴しなかったから
いつも答案用 ....
{引用=
空っぽの水瓶がひび割れる音がする
誇りを失ったその時は殺して
無様に誰かの足元に跪くことのないように
空想の純潔を
手折る薔薇を
遠視する愛を
合わせ鏡に映して
時々 ....
綺羅星の王冠を眺めながら
骨のようにかたい胡桃をほうばる
失楽園からの贈物に
境目のない儚い理想を夢見ながら
昨日の怒りを
今日の喜びとして享受して
往ったり戻ったりする荒野の ....
{引用=
いなくなったきみを探していたら
僕は自分を見失ってしまった
砂浜を歩くたどたどしい足元が
早く何処かへ連れて行ってくれないかと
波にさらわれることを望んでいるこころは
宙に浮 ....
{引用=
雨が降っているの
こころの奥深くで
あの夜のような朝からずっと
それでも空は晴れているから
傘もさせずにびしょ濡れのまま
けれどあなには見えない
魔法のような
私を支 ....
{引用=
それぞれに交差する
よっつのひとみ
そのやわらかな表面は
甘いのだろうか
それとも潮の
見詰めれば
卵黄を飲み込むように
喉を滑らかに落ちてゆく
嗚呼
同 ....
{引用=「果てのない孤独を感じるのは、まだ私が弱いからでしょうか。
私が未だ、言いようのない既視に打ち拉がれては瞼に幕を引こうとし、
触感を拒むのは、もう世に何がしかの光明をも信じていないからでし ....
{引用=
籠の中の小鳥たちが寄り添って
ささやいている姿を眺めながら
アルコールを呷り言葉と戯れる
自己意識を突放し抹殺し
消失にのみエクスタシーを求める者は
虚無が広がる世界に
制 ....
泣いたり喚いたりすることに
何の浄化作用があるのだろうか
僕の愛する人は
涙も見せず
痛いとも言わず
ただ静かに窓の外を見詰めて
もうすぐ春だね、と微笑んでいた
少し早い誕生日ケ ....
{引用=
遠い
耳奥で
汽笛が鳴っている
心臓が激しく
波打って
僕は行く当てもない
切符を手に入れる
ポケットに残った
微々たる残金は
駅の構内で眠る
浮浪者の
明日の食 ....
{引用=
カーテン越しの
やわらかな陽光が
目蓋に染み込んで
僕はしあわせに泣く
夜は明けたというのに
どうしてこんなにも
かなしいのだろう
ラベンダー色した夢の輝きを
1秒 ....
{引用=
うわの空に舞う花弁を掴もうとして距離を見誤る春愁の日
性別なんて窮屈すぎて息が詰まりそうだった
黄昏色の溜息を煙草の煙と一緒に吐き出して
トイ ....
{引用=
真夜中の公園で素っ裸のオヤジに首輪付けて散歩させてる
あれは昼間お料理教室で一緒だった清楚なあのオンナノコ
マルキ・ド・サドって名前だけは作家気取りの性癖異常者
僕は夕暮れの公園 ....
【7.25 晴れ】
am7:00 起床。
よく眠れたおかげで体が軽い。
共同サロンで朝食のヨーグルトに蜂蜜を入れてかき混ぜながらル・モンドを広げていると、昨日の学生グループが揃ってやってきた ....
【7.24 快晴】
am12:00 タイのバンコクに到着。
空港の有料トイレを使用。
いつも思うのだが、排泄にお金を払うのは人間として納得いかない。
再びルフトハンザ機に乗り込み次の中継地 ....
{引用=
(あの時こうしていればよかったなんて思っても、本当に戻れたら、きっと同じことをするに違いないのに)
}
【7.23 快晴】
am6:00、起床。
モーニングアラームをセット ....
{引用=
どこまでも遠浅の海岸で
白波を追いかける明方
目覚めると涙を舐めていた
すぐ熱いシャワーで
洗い流そうとしたのに
いつまでも耳奥から波の音が消えずに
こんな音
溺れる前に ....
{引用=
繋ぎたい手をわざとに隠す
距離に焦がれる眼球を
胸に取り込んでベッドまで持ち帰る
ランプの灯りに意識を漂わせて
アルコールを一口舐める
(あの丸くて柔らかいの欲しいな)
(ホル ....
{引用=
降りてくる朝の手綱を引いて
静寂の中にひっそり佇む戸口を叩く
小径を満たしてゆく血潮が瞼を温める
レンズの向うに産まれた半透明の結晶が
ぶつかりあって溶けてゆく
あらわれ ....
春を待つ誰もの浮かれた気温の中
鉛のような重さを持って鎮座していた
深い霧の奥から一点だけを見詰める眼差し
臆病な羊たちのそれとは違う
狼の口元に漂う吐息を纏った鋭利な眼光
まるでそこだ ....
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