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対岸で春が見ている
情熱を忘れた冬芽に間違った血の寄り添う温もり
時に収まるのを拒んでいる川面の波紋はオルガニスト
名残りと熱りを追いかける
その数字の大河でさえまたオルガニスト
寄り添 ....
僕は正装してそこへ向かい
ドアの前に立ったのだけど
鍵穴から嘘が見えたので
そのまま部屋を通り過ぎ
隣の部屋で服を脱いで
行きずりの女と一晩過ごし
手紙も一切残さずに
あなたのもとを去っ ....
{引用=男は錆びて動けないし
女は感傷で傷だらけ
若者は昔から愛を知らず
皆、高熱で浮かされる}
山なんて削って高原にしてしまおう
それですべてはうまくいく
ここはどこ、わたしはだあれ ....
気がつけば君がいる
ひし形を並べてアーガイル
あなたは隠れテイル
しっぽを巻いて逃げていく
誕生会はたぶん二回
お葬式もきっと二回
同じ鏡に納まりながら
君は未来へ
あなたは過 ....
何処までも高く投げたはずのボールが落下をはじめ
それを静止した瞳で追う
身を預けた椅子が軋む音
カフェインの色で染まる部屋
身を預けた骨の軋む音
カフェインの色で染まる声
脳が死ん ....
「箱」
部屋の中で降る雨
窓はもはや絵画
三角錐の頂上はそれほど高くはなく
そこはとても四角だった
誰かしらの手がきっかけで
箱は隙間を許し
本棚は本棚に
テレビは音を放ち
....
円形のものだけを集めるの
手当たり次第
だって終わりがないでしょ
新しいものだって
古いものだって
すべて円形
それで充分
そうして輪っかの上
いるだけで
何も必要ないでしょ
....
禁断の実を食べたのでした
僕らはよく笑う高校生でした
僕らはよく悩む高校生でした
ああ、でも赤い実を食べたばっかりに
帆船の入った瓶のように
海は小さくおさまって
ポケットの中で眠 ....
私がとても遠いのだと思っていた人は
すぐ目の前にありました
なぜならその人は海だったのです
必要とあれば向こうから
そうでなければひいていきます
私がどんなに駿足でも
どれだけ望みを握 ....
閉めきった部屋の中を
風が吹き荒れるなんて信じられる?
でもそれは本当のこと
現にそれで海は荒れ
帆をたたんだ私の帆船は
航路をそれて思わぬ方へと運ばれた
情熱からくる行為のそのほ ....
ねえ君はゼブラ
等しく白と黒のゼブラ
でも誰も知らないゼブラ
黒い名前のゼブラ
でもほんとうは等しく白いゼブラ
ねえ僕達みんなゼブラ
等しく白と黒のゼブラ
でも誰も知らないゼブラ
....
私達は風景を食べている
そしてもうひとつの地球のような
そんな世界を造りその上を歩いている
しかしそれはとても、とても小さい
幾つもある小さいを繋いでみようと試みるが
誰も縫い目ひとつに ....
拳を握り立つ女の背中の弓が跳躍する
大地のステップをくぐり抜け
夕映え瞳の奥
火燃ゆるその矢が到達すべき心臓へと導かれ
まさに射抜くのを誰もが目撃した
唇は乱れひとつなく
確信が彼女の ....