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あなたは一体
何処から来たのでしょう?

あなたは、あの日
たった一粒の種でした

一粒の種の中には
「他の誰でもないあなた」という設計図が
小さく折り畳まれ
ぎゅっ  ....
谷中ぎんざの通りには 
石段に腰を下ろした 
紫の髪のお婆さんが 
せんべいを割り 
群がる鳩に蒔いていた。 

向かいの屋台は 
木の玩具屋で、おじさんは
「ほれっ」とベーゴマを   ....
仕事から帰ると嫁さんが 
「はい、これを見て!」と新聞を手渡した 

※今週の本・Top10※ 
1位… 
2位… 
3位柴田トヨ「くじけないで」 
4位… 
5位… 
6位柴田トヨ ....
帰り道のパン屋で
硝子越しに覗いては 
ランプに照らされていた 
こんがり丸い窯焼きパンを買い 
紙袋に入れてもらう 
今日は、給料日。 

10回の高級料理と 
たった1個の窯焼きパ ....
桜のつぼみが口をひらいた3月27日は 
遠藤周作先生の誕生日で、奇遇にも   
結婚前の僕等が恋人になった日なので 
府中の遠藤先生のお墓参りに行った  
生後7ヶ月の周の、旅の始まり 

 ....
今、神保町の珈琲店・さぼうるで 
赤煉瓦の壁の地下にある席で 
珈琲をすする僕の目線の先の1階では 
美川憲一・はるな愛・ノブシコブシの吉村さんが 
おいしいナポリタンをフォークで 
すくっ ....
結婚前の嫁さんを僕は(きれいだなぁ)
と、うっとり見ていた 

結婚後にいつも一緒の嫁さんは、時折 
いもに見えることがある 

高熱にうなされ 
布団からふらふら身を起こした僕に 
 ....
主よ、私は凡人ゆえに 
敵を愛することができません 

私の内側にいる(もうひとりの人)が 
棘ついた人の心さえ、まぼろしの両手で
そっと包みますように―― 

私は自らを信じられぬ、夜 ....
なかなかはいはいが進まずに 
布団に顔を埋めた{ルビ周=しゅう}を 
仰向けにしてやったら 
全身を{ルビ真赤=まっか}にしてうああ、と泣いた 

周は、悔しがっているのだ。 
夢中で声援 ....
職場で調子が出なかった日 
凹んだまま布団に包まり、さっさと寝た。 

目が覚めて、妻が見ていた 
朝のニュースは 
{ルビ白鳥=スワン}の舞を
世を去った母に捧げる浅田真央 

場内 ....
渋谷のライブハウスgeeーgeに入ると 
唄歌いの君は 
カウンターで手づくりのおでんを 
皿に盛り、お客さんに手渡していた 

若い歌姫が「涙そうそう」を歌い 
チャイナ服のバンドの「モ ....
つよく握りしめていた 
拳を、そっと開いてみる 

この掌は、いつのまに 
透き通ったひかりの泉が湧いてくる 
不思議な器になっていた 
こころの中に 
一つの家を建てよう 

どんなに激しい嵐にも 
どんなに揺れる地震にも 
決して消えることの無い、一つの家を 

地面に膝を落とす、日も 
涙の絞り落ちる、夜も  
 ....
父親の圧迫骨折が悪化して 
日々の介護の不安に 
瞳を曇らせたまま 
嫁さんが布団に入った深夜に 

密かな寝息をたてはじめた寝顔を 
そっとみつめて、心配事の全てを
癒してあげたいと思 ....
これからの僕は 
嫌な上司のみみちい小言を、撥ね返す。 
これからの僕は 
苦手な注射も唇結んで、ぐっと耐える。 

どうやら親父になるらしい 
僕は自分の弱さを抱き締めながら 
日常の ....
 今夜のチャリティ朗読会を終えた僕は、家路に着く夜遅い電車に乗りながら、今夜Ben’sCafeに皆で集った「チャリティ朗読会」の意味を、感じていました。
 朗読会を終えて、ジュテーム北村さんがかた ....
私という人間は、一冊の本なのです。 

四角いからだに手足を生やし 
不恰好に揺れながら 
人々の間を往くのです 

私が通り過ぎる時 
誰もが振り返り 
「何だい奴は」と{ルビ嗤=わ ....
初めてあいさつに行ったあの日 
「箸にも棒にも引っ掛からん奴だ!」
と言われ互いにテーブルを平手で叩いた 
嫁さんの父さんが 

同居を始めて数日後 
仕事から帰り 
下の階で勉強する僕 ....
二俣川の運転免許試験場に行ったら、人間達が列になり、渋滞していた。列に割り込む若者に「あなたは何処に並んでいるの!」と青い制服のひとが叱り、視力検査の小部屋では、レンズを覗く初老のおじさんが健気にも「 .... 今日はいつになく忙しい日で 
不器用な自分にもくたびれ果て 
痩せた野良犬の姿になって 
帰りの夜道をふらついていたが 

「おはよう」と「おやすみ」の 
メールを毎日のように交わす 
 ....
デイサービスの送迎車で 
君のお父さんを迎えに行き 
玄関のドアを開く 

お父さんに続いて君が 
猫を抱きながら、顔を出した。 

「 これ、うちの美人猫 」 

お父さんの伸ばし ....
岸に咲いてる、雨の花 
魂宿る、雨の花 

その透明の面影は 
何故だかいつも腐らずに 
僕の隣で、薫ってゐる。 

それは愛人のようであり 
それは女神のようであり 

いつでも ....
頭上には 
世界の全てを覆ってしまう 
曇り空 

足元には 
この世に産声をあげた日の
ひかりの種 

あぁ生きるとは 
{ルビ嘗=かつ}て地上で
夜の{ルビ灯=あかり}の下に揺 ....
夜の公園で座敷を広げ 
若者達は楽しげに 
互いの盃を、交わしてた。 

「あ」 

ひとりが真っ赤な顔で立ちあがり 
いつのまにか、山間に 
ひょっこり顔を出していた 
まあるい月 ....
夕暮れになるといつも 
彼は施設の外に出て 
離れた更衣室の入口に 
ランプをつける 

施設の外の暗がりに
一日の仕事を終えて 
疲れて戻って来る人を 
(おつかれさま)と 
迎え ....
電気を消した暗い部屋で 
月明かりの射す窓に向かって 
扇風機よ 
お前はやけに 
凛とまっすぐ立ってるなぁ 

夜風にふくらむカーテンと 
何かを話しているようだ 
地下鉄の風に背中を押されて 
階段を下れば 
ホームの端を 
黄色い凸凸道が
何処までもまっすぐに伸びていた 

いたずらな風が 
吹けば 
すぐによろつく私だから 

凸凸道の内 ....
「 いってきます 」 

顔を覆う白い布を手に取り 
もう瞳を開くことのない 
祖母のきれいな顔に 
一言を告げてから 
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く 
散歩日和の道を歩く 
 ....
森の猫さんの服部 剛さんおすすめリスト(28)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
花の名前- 服部 剛自由詩917-6-18
谷中日和__- 服部 剛自由詩1013-6-24
柴田トヨさんの声__- 服部 剛自由詩6*13-2-14
幸いの味_- 服部 剛自由詩2*12-8-13
おさなごの夢ー遠藤先生の墓前にてー_- 服部 剛自由詩4*12-4-18
さそり座の女との遭遇_- 服部 剛自由詩412-3-20
いもと嫁さん_- 服部 剛自由詩7+*12-2-26
不思議な手_- 服部 剛自由詩2*12-1-25
さけび_- 服部 剛自由詩6*12-1-13
妻のひとこと_- 服部 剛自由詩511-12-31
渋谷一軒屋の夜_- 服部 剛自由詩311-12-17
掌の器- 服部 剛自由詩611-10-11
こころの家_- 服部 剛自由詩711-5-14
夫婦まじしゃん_- 服部 剛自由詩311-5-14
新米親父の詩_ー胎児の合図ー_- 服部 剛自由詩611-4-10
チャリティ朗読会の夜- 服部 剛散文(批評 ...311-3-14
幸福の本_- 服部 剛自由詩811-2-24
甘酒の味_- 服部 剛自由詩411-2-7
免許の更新_- 服部 剛自由詩410-11-17
炎のひと_- 服部 剛自由詩110-10-26
ごあいさつ__- 服部 剛自由詩110-10-25
雨の花_- 服部 剛自由詩510-6-3
詩人の樹_- 服部 剛自由詩509-10-24
お月見の夜_- 服部 剛自由詩309-9-15
夜の明かり_- 服部 剛自由詩309-7-23
扇風機_- 服部 剛自由詩509-7-11
賢治ノ星_- 服部 剛自由詩1209-2-20
海に還った祖母に捧ぐ_- 服部 剛自由詩3509-1-24

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