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夕闇の蛍光灯に
最後の飛行の果て
仰向けになって
蝉は動かなくなる
夏が終わる
何年も
人の目に触れず
ひと夏 現れ
命を終える
蝉という現象も終わる
午後 油蝉が
雨上がりの隙間を
待ちかねて
忙しく鳴いていた

それから
ずぶ濡れの油蝉が
どうなったのか
今でも
気になる
いくつものナマエが
ネットワークに
撒き散らされ
いつしか
ワタシが誰だったのか
拡散し続けるワタシには
もう分からない
無意識の匿名に
ワタシはかき消され
言葉だけが
墓碑銘のよ ....
ヤブ蚊というのは
人に似ている
あんまり暑いと
商売にならないのか
無防備な半袖にも
やって来ない
 (ホントハ体温ガ上ガッテ死ンデシマウノデ)
涼しくなると
栄養ドリンクを吸いに
 ....
どこからか
風の強弱に
合わせるかのように
風鈴の音が聞こえる

昼間の風鈴と
夜の風鈴では
どこか違う

昼間の風鈴の空洞には
何もない
何もないから
ガラスや金属の
異論 ....
日陰の中で
祠の供え物を
三毛が遠巻きにしている
昼下がり

夏の青空の飛行機雲が
長く長くのびている
その下で
三毛がまったりと
朝早くありついた
おかしら付きの煮干しの骨が
 ....
夜風に吹かれて
直立する空洞

枯れた片葉の蘆を
遅れて通過する
昨日の嵐
休日の
古いビルの階段の
陽の中で
ぬるい水溜まりのような
ものがたりのが
川風に
そよいでいる
脈絡は
とうに失せた
誰のものとも知れない
息遣いと靴音が
光の中で交錯する
 ....
君はいつも
留守勝ちで
玄関には貼り紙
「ただいま外出中
直ぐ戻ります」
いつまでも経っても
帰らない
温泉に行ったのだろうか
それとも
見知らぬ土地へ
しりこだまを抜きに行ったの ....
withinさんのフクスケさんおすすめリスト(9)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
季節の終わる頃- フクスケ自由詩109-8-8
驟雨- フクスケ自由詩109-7-24
フェイドアウト- フクスケ自由詩309-7-23
ヤブ蚊- フクスケ自由詩109-7-20
夜の風鈴- フクスケ自由詩209-7-18
- フクスケ自由詩309-7-17
蘆原- フクスケ自由詩109-7-9
ものがたりの断片- フクスケ自由詩109-7-7
河童- フクスケ自由詩109-6-20

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