ああ!さもしき男の一人遊び
連弾の中!
平凡な背中に毒を塗れよ
それで飛ぶんだ!
まだ見ぬ演劇に前のめる朴訥青年よ!
魂に重ねる金箔が欲しいんだな!
でも それは
深く段落の底
....
積荷をまとわされている
僕は何かをつかみ取ろうと
言葉が行き交い それをかわそうとするサラリーマン
ミサイルが走っていく
窓の向こうには
僕をさまよっていた そして暗闇に
寂しい記事が ....
それだけは
避けようと するのだ、
未開の人が
....
上だけは、止まる音楽の、
地面の、
留まった言葉であることは、
ただ目を、僕を開いて、
誰にとってもの風で
風は手放していた、目にある色彩を、
夜の時間が止まってきた、氷に
中に ....
落書きはない
近くには 音だけが聞こえている
確かなことではある
刻みつけようと この車も
続くだけの会話がしているのだろうか
停めていた車ではなく もっとその果て
堤防が 暴力の車世 ....
あなたの
果てのない恐怖と感謝がいりまじって
心臓がいきむ
マーブルな固形炭水化物をかじっている
泥の中や渋谷の109前で
白目をむいている健常者たち
瞳孔の開いたパリサイ人やマン ....
以前から目にしていたけれど
この所目立っている
プラスチックの彼
木枯らしの中で
踊っている
躍動感たっぷりに
以前はよく目にしていたが
この所見かけない
マイナスチックの彼女 ....
アスファルトには干からびた雛の死骸
散水の終わったテラスでは
欠けた樋から不規則に水が漏る
深爪の指を舐め
ただそれらを見下ろしている
穏やかな午後だ
路傍に転がる石ころのように
....
切断された個人展
中心 見えず 黒子が舞う
上下世界観
早い、そう遠くない未来館
ここは無人になる
セピア色の、コバルトブルーの似合う
斜塔のような
足が痛んで、治してい ....
進みがちだったり
遅れがちだったりする時計も
おおまかに言って日に二回ほどは
正確な時刻をしめすもの
そういうわけなのに
その時計だけは意地っ張りなので
狂っちゃった以上はどうしても
....
「林檎ってちょっと女に似てるから歯を立てるときぞくっとするね。」
夕暮れに秋刀魚さばいてみるのですふと血が見たくなりましたので
夜遅い夫の帰りを待ちながら深く深く爪を切るわたし
....
おかあさんがわたしをうんだので
わたしはおねえちゃんをうんで
おねえちゃんがまっさらなわたしをうんだらいいな
単細胞生物みたいに生きられるわたしを
おねえちゃんにうんでほしいんだ
わたし ....
まいにち 階段の数をかぞえる
それが 母の日課だった
増えたり減ったりするので とても疲れる
と母はぼやく
階段のある家には 住みたくないと言った
階段がなくなったら ぼくの駅がなくなってし ....
雨の降る日のフランスの外気のような湿った匂いのする君
アンドレくんにはもう言ってあげた?
もう私アンドレのこと嫌いって
ノートもう見せてあげないって
リサ先生とのこと教室のみんなにばらしちゃう ....
たかく、ながく、ら、をさけぶ、さけべばか
みふぶき、まい、つむじかぜ、ふきすぎる、
いるかのはだは、つるつるにかわいて、うら
ぎるせいてんのひかりを、すかしみる、ら、
をよべば、こたえるはなび ....
・
私の本当の名前はスマコというらしいです
だけど父も母も兄弟もみんなスマと呼ぶので
いつの間にか私はスマになってしまいました
ときどき本当の名前について考えます
コというのはどういう漢字な ....
僕の考えた妖怪
妖怪助けてー
肩から上しかない妖怪。
浅瀬で助けを求める。肩から上しか見えないので、川が深いと思って
助けに飛び込んだ人が顔面を強打して死ぬとその肉をむさぼる。
善意に ....
白髪があったので
抜いてみると
耳の裏辺りから
ぷちっと音がして
なんだか少し
体が冷えたみたいだ
隙間風の
よく聞こえる耳になった
抜いた白髪が
白い糸みたいだったので ....
わたしたちは
ノートを破る
戦争は、ありました
原爆は、おちました
南京大虐殺は、
「無かった」
と言う
きみはいつでも
修正液を用意している
「お前だけだ」 ....
トラックから振り落とされた石柱が道路に転がる。
汗ばんだ灰色のTシャツに、色あせた濃紺のズボンをはいた運転手が、
ちぎれたワイヤーを手に空を仰いでいた。往来する車の窓は
ほとんど開いていて、視 ....
街は色彩と四角形が多い
色と形を捨てた僕は
自動車の中から窓越しに
後ろへと緊張していく風景に
様々な情緒の斑点を投げていった
山道に入ると木々が道路をにらみつける
おびえた道路は身を ....
夏だというのに歩かされていく
コイン駐車場に
車を止めて 僕は
スーツを着なければならず
営業車で
知らない街を巡っていく 水の
温度はどのくらいだろう 裸で
日差しを存分に浴びてい ....
風の
含んだ栄養を
いいだけ食べたら
夢見の時刻
よいことも
よくないことも
よい、を満たしうる
定義のことも
ときが
過ぎれば
牧草になる
風に
吹かれて
....
・
幼いころ
妹はお風呂が嫌いで
兄は爪を切られるのが嫌いで
わたしは歯を磨くのが嫌いだった
だからそのころのわたしたち三兄弟ときたら
妹は髪から極彩色のきのこを生やし
わたしはのどの奥 ....
もうお姉さんになったので私は大人たちが飲む紅茶をもらえるようになりました。今までは色でごまかした甘い水を飲んでいましたが、今日はお母さんたちがいつも飲んでいるような高級なティーカップが私の前に置かれて ....
冬、「顔を洗う」のが億劫で
枕元の紙にそれを書いて済ませた
*
冬、「顔を洗う」のが億劫で
枕元の紙にそれを書いて済ませた
*
....
ト 格子
敢然とした口を病みながら 介良 介良
対角線に対して警告を発する 介良
介良
....
書き留めていたはずの詩が
一晩のうちに
家出をしてしまったらしい
枕元にあるのは
真っ白な紙の切れ端で
紙を失くして
彼らは
ばらばらになってしまわないだろうか
雨が降 ....
海のにおいの雨
さかしまと笑み
風を赦す
告げるものなく
歴史を失う
黒く 短い道
雪に埋もれた野の向こう
雨がひとつ膝をつく
さかいめ ちぎり絵
....
剥がれてもなお身を削る付け焼き刃
死人らの声聞き飽きて冬燃やす
首くくる光の如き窓のうた
忘れては腐りなお呑む火酒かな
....
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