目が覚めると
右手がチョキになっていた
いったい僕は何と戦ったというのだろう
夜中、こんなものを振り回して
援軍の来ない小さいベッドの上で
誰も分かってくれないと
出来るだけ軽く呟いて
アスファルトに転がった
ビールの空き缶蹴り上げる
それは闇に吸い込まれ
遠くの方でカランと鳴いた

目を{ルビ瞑=つむ}っても歩けてしまう
 ....
地下鉄の駅のホームで
私はずっと待っている
ただ立ち尽くす私の前を
もう何本もの電車が通り過ぎた
しかし自分の本当の行き先を
私は未だに見付けられないでいる

電車はホームに止まる度
 ....
昭和生まれの私の肩を
平成の雨が容赦なく打つ
汚れや痛みは流されず
ただ剥き出しの私だけがここにいる

昭和という時代の終わりを
私は祖母の墓参りの帰り道
高速道路の車の中で聞いた
ま ....
ある日僕は旅に出た。
みどりの扉をくいっと開けて、とにかく荒野に出てみた。
荒野には、野菜が植えてあった。
大きな果物の木もあったけれど、
なにがなっていたのだかはよくわからなかった。
そも ....
糸を

たぐりよせて
より込んで
野生の木の実で、木の皮で、灰汁をつかって染めていた
貴方のために織った布
裁って合わせて服を縫う、靴を縫う

身につけた布地は擦り切れて
冬の野原に ....
開け放たれた音楽室の窓から
合唱部員たちの歌声が聞こえる
放課後、行き場の無い僕らは
校庭の隅にある鉄棒に片足をかけたままぶら下がり
いっせいの、で誰が好きかうちあけると
やはり同じ子が ....
ぼくが
のびて
ぱちん
ぱちん、と
きりおとす

それは
みらいでもなく
ゆめでもなく
きぼうでもなく

いきようとしている
さいぼうが
ぼくに
あることを
しらせる ....
真夜中、どうしようもない文をきみに贈って
遂にどうしようもなくなった
靴下一枚ぶんだけあたたかい非常階段で
かどっこの感触を親指でたしかめる
しんどいなあ
でも息はできる

やっぱり拡張 ....
そり返る指先に君はやじろべえ
踏み出す一歩 手と同じ右
君の笑顔は椅子に似ていて
笑うと誰もが顔に座りたがる

散歩途中のお年寄りや
旅に疲れた旅人
アイスキャンディーを持っている人
ただ夕日を見ているだけの人

誰かが座ると嬉しそうにする ....
起き抜けの
一杯の珈琲と一本の煙草
まだ寝惚けた頭には
今日が昨日で
昨日が今日で

起き抜けの
一杯の珈琲と一本の煙草
ボサノバなんて聴きながら
一日に一度しか味わえない
その味 ....
                       きゃらめる 6


  ねじ

  1

まいばん
ねむるまえに
もうひとつだけ
からだのねじを
はずしてみる
おそるおそる
 ....
檸檬は今にも飛んでいきそうな色と

形をしているけれど

決して空を飛ぶことはない

朝、テーブルの滑走路で
もう
行過ぎてしまったのでしょうか
継ぎ接ぎを当てながら乗り継いで
ここまで歩いてきたけれど


風の叩く音に急かされて
窓を開けて覗き込めば
色と色とが混ざり合った空が
時間の流れ ....
重い足取りの隣へ
「大丈夫か」
と声をかけ
笑顔を見せている

荷を背負い
歩く
旅人達は
何時、荷を背負った
という記憶を
持ち合わせてはいない。
ちょっとだけ

手ぇつながしてもらってもいいですか

そうしないとなんだか、君

飛んでっちまいそうなんですもの


 
夜になるとたまには
その日の些細なシーンの積み重ねで
あわよくば 後戻りしたくなります

ぼくらの夜は
そうやって 濃いっぽい空に包まれ
浮かんで混ざって消えていく それらで出来ている
 ....
僕は置手紙を残して

出て行くよ

このメールの時代なのにね

せめて

僕の体温を感じるものを残すよ

「さよなら」を書くと

いろんなことを思い出して

涙がこぼれるか ....
● 次の日の・・・たち

元気ないなあ、今日の・・・たちは。

あお「ヘリウム、行っちゃったね」
あか「ああ。僕らをおいて飛んで逃げちゃったね」



◎ 次の日の綿菓子

あら ....
今そこで
足音がしていたので
どこかに行こうとしているのだと思って
それは廊下の突き当たりにある部屋の中の
粗末な机の前なのかな
と思ったりもするが
その足音は
始めはせわしなく廊下を踏 ....
                  キーボードからQが消えた
                  質問できなくなった
                  次にAが砕けた
         ....
あの日どこかに
忘れてしまった
何かに夢中で

あの日どこかに
忘れてしまった
何かが足りなくて

あの日どこかに
忘れてしまった
何かが欲しくて

あの日どこかに
忘れてし ....
流されているのではなく

流れていく快さ

静かに静かに時の流れに身を委ね

しかし けして自分を失わず



出会う事物に

ひとつひとつ感動し

ひとつひと ....
ロクさんのおすすめリスト(24)
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Stabat_Mater- たもつ自由詩1504-3-23
つめ- 玉兎自由詩204-3-22
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