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何万年かの後
私は
泥岩の一部となり
ばらばらになった
私達は
組み立てられて
私になるのかもしれない
全く新しい名前をつけられて
全く新しい人生を
与えられて
母を持たず
産声 ....
藍の闇、琥珀の星。
三日月の船が西に寄る頃、太陽の塔の石階段を陽の守人がゆっくりと上り始める。

金の弓を手に、まるで世界を起こしてしまわないよう気づかうように、
一歩ずつ、音をたてずにゆっく ....
忘れて見える名前も知らない
並んでいるようにも
どこまでもインクの並んでいくノートに
日差しが天井に降り注いでいる

スライドがあった
整然と絵にしてみたいと
ぼんやり僕は色あせて
今 ....
囚われの身のわたし
監禁生活も半年に突入
憎らしいあなたの20歳のお祝いにと
行くことが許された範囲で準備した
ひまわりのブーケが枯れてから
もう2年の時
覚えていますか

ひまわりは ....
「見て、B-29よ。」

一九四五年のある夏の日、
私の頭上にあるのは夢でも希望でもなく
死神の翼でした。

終戦間近、戦火を免れ長閑さの残る片田舎の少女だった私に
戦闘機の名前など区別 ....
シュークリームが
雨にうたれて溶けだしている
道端のくぼみで
まつげの長い女が
バスに乗るときに落としていった
シュークリームが

溶けて流れ出している
甘い、いくつかの体液
何もか ....
オネガイ...


このまま私の中にいて

もう離れたりしないで


あなたはいつも
わたしより先に

終わらせてしまう


終わらせないで

このままふたりを
ひ ....
          おれは一番好きだ
           七夕月の落日が。
      日中こき使った交感神経に
 安堵のシグナルがともされる気がして。
  あれほど隻影に対して威張っていた ....
駈けて

駈けて

君のもとへ

幾千の夢を経て


久遠の時

遥かな空

夕日に誓った

あの日の指切り


時は人を得て

人は時を経て

佇む影 ....
頭をかかえることが日に日に増えていく
信じることはやめないけれど
今日もたくさんの不安が降り注ぐ

本当のことを言おう
閉塞感やどうにもならない苛立ちってのは
思春期に限ったことだと思 ....
帰ろうかな
そう思った
一瞬を幾度か
ちらして!

5月
空は氷を溶かした青で
お花のジェット
バウンド・フォー・トーキョー
千歳の上空から苫小牧
育った家を見下ろした

掘り ....
 
 
ストッキングの
踵のあたりが破れて
熊の顔になっている

その熊に
首筋や背中を
何度も引っかかれたけれど
僕は死ななかった

真夜中
真っ暗な部屋に
NHKを灯して ....
雨の夜って好きだなぁ
ソルティドッグ片手に呟く夜中の二時
ベランダの手すりには雨粒がいっぱいで
むきだしの足のウラに冷えたコンクリィトが気持ちいい

夜って水の底みたい
キレイに澄んだ水の ....
ハンバーガーショップで
別れたばかりの彼女からもらった
割引券を使った
本当は君を思い出すために
取っておきたかったけど
期限が迫ってたので
海老フライバーガーを注文した

 ....
青い水の中
赤い鯉が泳ぎ
緑の藻が浮いている

 その脇で紫陽花は
 自分の色を決めかねている

青い空の下
赤い蝶が飛び
緑の蛙が鳴いている

 その脇で紫陽花は
 自分の色 ....
 声、途切れた理由を
 知ることをためらった
 まだ若かった私たちは
 過ちを犯すことに
 慣れていなかった。


 他人の言葉をかたどることも
 容易であるかもしれないけれど
 か ....
ぱしゃり、と水音をたてて
あなたは私を抱きしめる
二人きりのぬるま湯に浸っていると
まるで双子のようだと思った



「交わることのなかった二人が
一瞬だけ出会 ....
少年誌の山を崩し
初めて手にしたビニ本をめくることで
成人女性の身体には
モザイクという器官があるのを突き止めた
未知の感情に駆られ 求めた場所は
服を着ていたり
声すらかけられなかったり ....
からりからりと晴れた空


君は何を思うのだろう


溜まった洗濯物は風が揺らし


休日の私は君に揺らされる


いっそのこと


忘れてしまえば良いのに


忘 ....
脆さを暴く静寂を
教えてあげましょう

その頸をそっと絞めて
呼吸を止めてあげましょう

その限界の内側で
浮かぶものは
誰ですか 何ですか

思っている程にあなたは
大きな存在 ....
あなたとセックスしている間、頭の中で聞えていた電子音の長さを数えてみました
それはぴったり4秒で
あなたが私にしてくれたどのキスよりも長かったから
私は、いつもより大きな声で、喘ぐ

4秒の ....
朝が墜落する前の静けさに
私とあなたは手を繋いで
ただ狭いベッドにぶら下がっていた
午前五時、東京という街


徹夜明けで、熱のひかない目蓋
ピンク色の境界線がぼやけている、口唇
 ....
破いたノートに
はじけた甘い物語
こぼれた涙が
君の名前を歪ませる

何も知らない
2人の想いが
ノートの上で
続きを待ってる

空を見上げて
星を拾って
手と手で絡めて
こ ....
 
 
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
 
+
 
 ....
羽根を汚した天使が
苦悶の表情で此方を見ている
汗に混じる紅は
幾千もの痛みを受けた証
滴る鮮血を飲み干して
どうか僕だけの天使にしてあげる

十字を掲げた女神の許に
祈 ....
うろたえ、戸惑い、日が暮れました。

昼は、バーガーセットを買う時に
お金を出すのに手間取ったから
店員の若者に冷たい声で
「御会計先にいただきます」と言われ
思わず
「は?」
と聞き ....
これが最後の挨拶だ 
もうここに戻ることはない
旅立つ準備はできた 
喉の裏を空気が入り込む


感情が絡み合い
脳内で火花を散らす
まだ悩みがあるようだ
9時前にはおいしい
トー ....
君との愛を冷凍しておけばよかった
そしたら欲しい時にチンして手元におけたのに
だけど想いは儚く
甘いアイスクリームのように溶けてしまった
さよならは平行線
ただ違う道を行くだけ
君の行く先 ....
投げ出したチェリーパイ
散乱したキッチン
崩れ落ちた何か

衝動的に飛び出した
立ちすくむ君を残したまま
罪悪感の欠片も無い

だってもうイヤなの
サクランボにはウンザリしてたの
 ....
僕は知っている
通学路の途中にある花坂斜路の下には
恐竜の化石が埋まっているってこと
それをいつか僕が掘り起こすのだ

春には桜が咲いて
夏には向日葵が咲いて
秋には金木犀が咲いて
冬 ....
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