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湯舟に浸かると
そこは港
ゆっくり岸を離れてゆく

目を瞑れば見えてくる
この世にひとつだけの海を
満天の星々を頼りに
湯舟はどこまでも行く

扉が開く音がして
お風呂 ....
 
キリンのように
長い首だったので
保育園の先生を
キリン先生と呼んでいた

心の中でも同じように
お友だちはみな
そう思っていたらしくて

ある日お友だちの誰かが
キリン先生 ....
 
わが家にも念願の街が出来た
これからは部屋の名前を
町名で呼ばなければならない

陽だまりヶ丘一丁目
そこに僕がいる
居間の窓際の辺りだ
二丁目から三丁目
キッチンが見える街まで ....
 
春が訪れた
ある晩
列車に乗って
終着駅にたどり着くと
妹はまだ
待ってくれていた

春夏秋冬
それからもうひとつの
季節があった
かつてひとつの
家族でいられた季節

 ....
 
兄さんが帰ってきた

兄さんは
少し自信のなさそうな
顔をしていたけれど
兄さんの声は
あの頃と変わらない
兄さんのままで
兄さんがいないあいだ
僕がどれだけ不良になって
自 ....
 
たかのり君
と呼んでしまった
生姜焼き定食のことを

もちろん
たかのり君が
生姜焼き定食であるはずはなく
けれども
一度そう呼んでしまえば
そのようにも思えてきて
こんがり ....
 
ひさしぶりに実家に帰ると
お父さんが
船になっていた

甲板には母がいて
いつものように洗濯物を干したり
いい匂いがしてくる
調理室で料理をつくるのも
やはり母だった

嫁い ....
 
ここで暮らしていたことが
夢のよう
いつかそうなる日が
来るとわかっていたから

やさしさは
やさしさでしかないことも
知っていたから
ただ祈るしかなくて
今も祈ることしかでき ....
 
雪の上に寝そべりながら
ぼろぼろと落ちてくる雪を見ていると
それは錯覚なのだろうけれど
空をどこまでも昇ることができる

このまま
天国までいけるような気がして
目を瞑り
目を開 ....
 
かくしごとなんて
はじめからなかったはずなのに
生きてると
知られたくないことの
ひとつやふたつあるものでした

できることなら
椅子に生まれて
何も思わずにただ生きて
人を支 ....
 
サービスエースを決めようとしたら
今日からあたし入院します
と言って
ネットのむこうのあたしが
眠ってしまった

ときどき点滴したりして
管がネットにひっかかると
 ....
 
父さんと
楽天の試合を見にいった
けれども本当は
野球よりも球場を一周する
小さな汽車に乗りたかったから
父さんは入場券をポケットにしまって
試合が終わるまで
何度も何度も汽車に乗 ....
 
風呂の戸を開けると
いつかの僕が
髪を洗ってる

背中を洗ってあげると
ありがとう
そう言って
妻がしてくれてると思ってる

湯船には
いつかの祖母が入ってる
髪を洗う僕に ....
 
やわらかいものが
やわらかいものに抱かれ
育むものが
育まれたことをよろこびとした
この命の果てにある
未来がまだ懐かしかった頃

時は懐かしく
時はまた経験として
かつて見た ....
 
こどもができたの
と、いうと
嘘をつけ、といわれ
生まれてきたのは正真正銘
ロボットの赤ちゃん
の、はずだったのに
人間の
あなたの赤ちゃんよ

それでも
ロボットの子供にふ ....
一人暮しする時に
父が大切なラジカセをくれた
買った当時
十万円近い価値のあったラジカセは
時代とともに価値をうしない
それでもあの日ラジカセを
父の部屋ではじめて見た時は
銀色に輝く ....
青い風さんの小川 葉さんおすすめリスト(16)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
湯舟- 小川 葉自由詩909-3-24
キリン先生- 小川 葉自由詩409-3-20
街になった家- 小川 葉自由詩5+09-3-15
ある晩、春は- 小川 葉自由詩509-3-10
兄からの手紙- 小川 葉自由詩409-3-4
とおい水- 小川 葉自由詩15+*09-3-3
- 小川 葉自由詩809-2-24
帰省- 小川 葉自由詩609-1-2
世界- 小川 葉自由詩508-12-23
椅子- 小川 葉自由詩21*08-11-30
卓球カフェ- 小川 葉自由詩508-10-14
僕らの休日- 小川 葉自由詩16*08-9-17
入浴- 小川 葉自由詩608-9-3
未来がまだ懐かしかった頃- 小川 葉自由詩708-8-28
妊婦のロボ子さん- 小川 葉自由詩6*08-7-26
ラジカセ- 小川 葉自由詩308-6-14

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