自然は説明を嫌う
僕の前には答えばかり
広げて見せてくれる
季節の移り変わりや
突然の雨もそう
しわの増えた自分の
手のひらでさえも
答えばかりの答案から
問いを考えるのが人さ ....
あの日
涙で滲んだ携帯画面
待ちわびていた再会の日
捜し回った駅のホームで泣きじゃくった
地図上ではたった少しの距離がなぜこんなにも遠い
立ち尽くしたあの夜
あの日
震える手 ....
るん
光が
さえずってる
北風に耐える
常緑樹の
尖った指先の上で
るん
光が
うわずってる
北風を壊す
自転車の
忙しないスポークの間で
るん
....
めそめそしててもご飯ご飯
お昼は食べなきゃいけません
おはしって素敵な武器ですね
みんなこれで戦えば
胃袋戦争だけで済む
深刻なのを続けると
自然に胃炎になってしまうから
優しく ....
或る時に
コップにコーヒーを注いで
赤茶けた土の上に
冷静に横たわる猫を見ながら
遠い冬の日を眺めた
菜の花の
暖かく黄色いさまが白黒の人たちを
この世界へ浮きだたせる
土の上 ....
こどもたちと
お母さんは
羽を伸ばして
ゆったりと幸せな気分で
一日を過ごしている
その姿は
昨日までとは
明らかに違う一家団欒
あなたが
この指の届かないところにいるから
....
家族写真骨の髄だけ冷えている
黒白衣在在所所のひとごろし
赤札が死に筋を売る唐人街
髪結いの指の股が梳く指の股
せせらぎに溶けてなくなる黒い髪
三叉路と三のつく日の遠回り ....
語れ無きあなた
あなたは見えないものを見
聞えないものを聞き
それで得たもので
この世の音では無い声で
嬉しそうに笑う
あなたは
人の行けないところへ行き
人の成せないこと ....
恋してない
ときめかない
最近、ずっと
”きゅん”ってなんだったかしら・・・・
それは、とても遠い昔のことだったような気がして
恋の落ち方がわからない
最近、ずっと
風邪の花なにか英語の飲みものを
導管へ真っすぐ落ちよ寒の水
しもやけの痕にやさしき指ずもう
冬雲やはっかの味のするたばこ
汽車を待つ人の隣で汽車を待つ
お父さん好きな言葉 ....
回送列車には
誰も乗っていなかった
けれども目を閉じると
そこには
乗客がいるような気がした
家に帰ると
誰もいなかった
けれども目を閉じると
まだそこにいるような ....
初恋のつめたい指先冬のみち
さびしさにレモン投げたい冬の空
小鳥らはだれのために泣いてるの
初恋は曲がりくねって青白く
宝石のように輝け遠い未来 ....
紙が束ねられる、糸によって
太陽によって、色褪せない先駆に
色褪せた紙は糸によって束ねられ
紙は束ねられ、匿名によって
木綿によって、埋葬されない化石に
紙は一人がいる閉ざされた一室で
....
絶望をしっているかい?
と聞かれたら、キミはなんと答える?
知っている、と言えるやつはしらないだろう
わからない、と言うやつもしらないだろう
知っていると思う、
と言うやつはちょっと ....
川の水がなくなっていた
また上流のダムがせきとめられているのだろう
その上流には私のいた村がある
村人にはダムに注ぎ込まれる川の水が
どこでとめられていても関心はない
ダムの真下には友人 ....
そんなにふるえていたら
じょうずにかけないよ
ゆめとかいても
きぼうとかいても
すぐにくずれてしまうじゃないか
青果コーナーのおじさんは
どれに蜜が入っているかわからないという
りんごの山
どれも赤いりんご
りんごはこっそり打ち明ける
私をつくってくれた
おじさんは知っているのに
伝えておいて ....
{引用=
両の手で耳を塞いで
押し寄せる血潮の波の
遥か遠くの音を聴いている
真夜中に
わたしはわたしの体が
排除しようとするものを
いつまできつく
抱き締めているのだろう
....
冬の風景に転がった空き缶は
なんて似合うのだろう
だからってポイ捨てするなよな
風が揺らすブランコ
詩的においしいシーン
ただ空腹の私には
ただ寒い寒いだけ
コンビニがオアシスに ....
肌色の闇をゆっくりと
黒から藍へと
藍から茜へと
溶かしていく明けの陽光
暗闇が
艶やかにヴェールを脱ぎ
露になる裸の街
底冷えする蒼さと
柔らかな白さが
街のシルエ ....
あなたの好きな人と
してらしていいわ
優しい前戯
そのかたにおやりなさい
けれども
最後のナニだけは
私にとっておいて
あなたは夢中なの
いつか二人で
其の手のパーティーに出るっ ....
泥臭い希望よ涙せよ
それは停滞したのかもしれない
それは退化だったのかもしれない
だが俺には俺自身がいた
絶望にくれる心にも一筋の光が射すことがあり
ふてぶてしいまでの俺自 ....
まるめて
くっつけて
それだけで何故
こんなにかわいいのだろう
真っ白な世界に
立ち並ぶ雪だるまたち
きっと
何かを宿してるね
{引用=
私はもう目覚めていた
※
そこにはないもので
構成されているので
言葉を通り過ぎることが
できた
得体の知れない勲章を
与えられて
....
駅前ビルの本屋さんで
デート
洋画の「恋に落ちて」みたい
夢にみていた
本屋で落ち合うこと
でも
あたしたちは
この時間を最後に
しばしの
さよならだ
頭がクラクラ ....
ベランダにでて月をケイタイで撮るひとがいる
月のしたで勉強を誓うひとがいる
試験は春ごろだろうか
どこにゆけば
安定した幸福を感じつづけられるのか
天体はまちに住んでいる
オリオンがから ....
空を飛べたらいいのに
鳥のように器用じゃなくても
どんなに不器用でもいいから
空を飛べたらいいのに
小さな悩み事一つ越えるくらい
そんな僅かな浮力でもいいから
空を飛べたら ....
空を飛んでる夢を見たの
あれは今から何億年も前
今じゃ重くなった翼で飛べる事は出来ないけど
とても軽くて大きく上下に振っていたわ
それは今も同じね
ここと同じでやっぱり青い
どうしてこ ....
お葬式よりも
静かな洗濯機を買いました。
しめやかに洗濯工程が行われ
私はにぎやかだった母を
懐かしむ。
箸置きに次元をかえて架ける橋 転がる二本の非常階段
きみの手のあやとりの糸たぐり寄せ真水に飛び込む指を絡めて
爪先もまなこも縦に尖らせて剥がす鍵盤しろいとこから
....
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