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匂い立つ深緑と
立ちのぼる雲の下で
十日間だけの地上を生き急いだ
蝉が逝く


追いかけっこに夢中になって
境内に滑りこんだ少年達も
盆を過ぎたころ無口になって
夏が逝く


 ....
地元の人間にさえほとんど知られていない裏路地の
石畳の階段を降りきったところに
さびれた骨董屋があって
そこでは【地下鉄の黒鏡】やら
【合わせ鏡の13番目】やら
【白紙五線譜のオルゴール】や ....
寒さは人を侘びしくさせるので
細い雪道ですれ違う時は
どちらからともなく微笑みあって
凍えるのを防ぐ

カタクリの粉を握るように雪を鳴らして
灯りのもとへ帰る人の足どりを子守唄に

産 ....
 
並木道に
誰かの日傘が忘れられているのを見つけ
持ち主の名前がなかったので
失敬することにした
けれど自転車のかごに引っ掛けて
ペダルをこぎだしたそばから
日傘は陽を浴びて匂いたち
 ....
その本を手に取るたびに
同じページばかり開いていたから
今では机に置くだけで
パラパラと そこへたどり着く

私の心の傾きが
そのまま しおりになっている
貴水 水海さんの石畑由紀子さんおすすめリスト(5)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
沈める寺- 石畑由紀 ...自由詩504-2-13
【ハーメルンの笛】- 石畑由紀 ...自由詩204-2-12
冬の音- 石畑由紀 ...自由詩604-2-5
緑の日々- 石畑由紀 ...自由詩2404-2-3
しおり- 石畑由紀 ...自由詩2704-1-22

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