すべてのおすすめ
つばめは
どしゃぶりの中を飛んでいった
ヒナにエサを与えた後で飛んでいった
雨の中でもとりが飛ぶことを
知った ぼんやりした頭で
ひっそりしている巣の中に
命があることを想う
....
私は私の言葉を
細く細く出し続ける
水の中で吐く呼吸のように
みえない泡になってゆく
はじけたとき
はじけぬまま
あなたはなにかを感じるでしょう
たとえ
目をそらされたとしても ....
いろんなことが
ぐちゃぐちゃしすぎているから
もう全部 おなべに入れてシチューを作る
真っ白な クリームシチューを作る
いつもの手順で
気持ち抑えて 切るしかない野菜を
ひと呼吸 ....
私がおかあさんというとあなたのことなんだけど
あなたはいつからかおかあさんだけではなくなった
ずっとはじめのほうからあなたはおかあさんとしての
ぶぶんが少なかったようにおもう
おとうさんと ....
りんごをむいてゆくと
白のりんごになって
赤のりんごはぺらぺらの
シートにかわった
僕は白いりんごに驚いてしまって
赤のシートに名残惜しそうに
名前をかいた
りんご ....
どこにありますかあなたの心
脈打つ流れが心です
真っ暗な空に小さな指輪
のような星がひとつ
だれかの期待みたいな
小さな星がひとつ
失敗の歩に迷い
人の目に切り裂かれながら
ふ ....
指先よりも遠い空
青い姿で広々と
全部包んでくれそうだから
甘えた声を出しました
横切ってゆく白い猫
ちらりと横目で振り返り
しっぽをつんっと尖らせました
お前なんかは相手にされ ....
池にほうりこんだ鏡みたいにキラキラ
お昼休みの太陽
君の髪もキラキラ
手前からとればいいのに
わざと後列から取るパンには
迷う手が示すように少しの罪悪感が見えるね
缶コーヒーのプル ....
僕は自転車
銀色の自転車
まっさらなときはあれほど
毎日走ってたのに
今では隅っこでさび付いている
埃をかぶった自転車
雨って冷たい水だけど
キラキラしてきれいだったな
ここからは ....
まだ生まれてきていない言葉を探した
生まれていないのだから
つくるしかないとおもった
見上げると桜が咲いていた
お前は私のこどもではない
桜がたしかに言った
私の記憶には桜があ ....
今朝よんだ本にかたいものがはさまっていて
誤ってのんだらしい
私のカラダの中を
ゆっくり ときどき急いで
まわるついでに 観察してるようだ
なんとかとりだそうと本を探してみる
巨大 ....
夜風をぬって届かせたい夢の国の
ドアはそこにあると思う
この手に触れそうだから
春風にゆられ木にぶらさがっていたい午後の
遊覧船みたいな あやふやになりたい
星のみえない夜
月は大 ....
おびえたカラスみたいに
があがあ鳴くの
つややかな黒の羽を
ばたりばたりさせながら
いっぽんの電柱の上で
歩く人を見下ろしながら
同じカラスが
飛んできたのに
くちばしをとがら ....
私の皮膚に
とても近く触れて雨がある
どこからきたものか
わからぬ雨がある
ところで
どこからきたものか
知っている君からの便りは
私からこんなにも遠い
遠い君を想う
今 雨 ....
ざわざわしている森の中で
私の命だけが静かでいる必要はないのだ
煌いている光の中で
緑にも影がある 川の光も影を持つ
入ってみない?
なんて聞く前に足を踏み入れてもいいのだ
川には ....
私の言葉が尖るのは
爪とぎ忘れた猫だから
咲き始めの葉っぱだから
ごめんなさい
ごめんなさい
と春にまかせておじぎした
ぽきん と折れる
かもしれない
でもね でもね
そ ....
迷いすぎてどろどろに
溶けた気持ちをもてあそびながら
今夜もうたをうたいます
外の雪がちょうどよく
心を冷やしてゆきました
今日と明日のつなぎめは
とんがり角でできている
月も星 ....
朝みた空が
あまりにも白かったから
空を突き抜けて太陽を殴りにゆきたかった
気持ちよく生きてこうって決めた朝なのに
なんでこんな灰色の空なのか腹がたったから
ぱらついてきた雨に どうにで ....
窓に手の平押し付けて
冷たいですねと笑いました
うすい うすい 笑いでした
唇の色も失くすようでした
窓あけて 二度振り返る
あなたがいるように期待して
夜風は ふわりと舞っています
....
ごめんなさいと断って
あなたをまたいでいきました
とても急いでいたんです
おいつきたくて 自分の想いに
いってしまうんです
想いたちは 想うそばから
飛び立つんです
言葉であらわした ....
もったいつけてみたのに
りんごは赤かった
むいてみたら白い肌があらわれた
赤と白のはざまには昨日があった
とまどってみせたのに
だれにも発見されなかった
土色の顔には夕日は映えなかった ....
真っ暗な空に
両端が刺さりそうなぐらい尖った
三日月が横になっていた
なぜか 両側に霞がかかっていた
あれは だれかの曇った瞳なのだろう
心の4番目のドアをあけて中のものをぶちまけたよう ....
何もかも愛のために許せるわけもなく
あなたがつまらなさそうに出かけるのをとめることも出来ず
どっちもどっちな夜はふける
こんな風に両親だって不仲になったのじゃ と
おもいあたるふしはあった ....
なにをやってるんだって言われるよりも
よくできたねって言われるほうに
どきりとするようになった
ほめられていいものだろうかと思うなんて
自分ではうまくやれたって思っても
すんなり認められ ....
片手ナベに
この世の終わりみたいな白い牛乳いれて
つきっきりで温める
ナベの内側にふくふくと泡が立つ頃
みじかい瞬間の想いを終了させる
いれたココアのせいで
白は濃く染まる
自分のためだ ....
かわいそうって言われて複雑なのは
障害者の姉のことか自分のことか
よくはわからない視線にあうから
くすりと笑う姉の笑顔は
子犬がじゃれるようでかわいい
計算された親切の前で
こわば ....
割れた指先に機械油が染みて痛いという
まるでヒトゴトにそれを聞く
吹き荒れる風は私の首筋を叩き
ごっとりと前のめりになる背中になる
ふと
目の前にあのひび割れた指先が現れた
びしゃ ....
流した涙の数だけ 強くなれるなんて
うそです
うそです
苦しんだ後は救われるなんて
うそです
うそです
努力で得られないものは
備わっていないものは
泣いても
泣 ....
君がはらはらと はらはらと泣くから
僕はただ おろおろと おろおろとするしかない
君がほろほろと ほろほろとこぼす涙に
僕はただ ふわふわと ふわふわと夢ごこち
あやまったってゆるされ ....
白いあなたはたちのぼりました
火葬場の空に
時間はどこででも流れるものだと
感じた棺の残骸
自分の嗚咽に一番 自分が驚きました
私はあなたを憎んでいたし
あなたと対決する日がこわか ....
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