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アーモンドチョコレートを一粒
光沢のある爪先ほどの球体
歯が食い込んでいく表層、とろけて
わずかに硬いアーモンドは
乾いているのでカリッと割れる
砕けた粒が乾燥地帯の匂いを呼んで
アーモン ....
彼も昔は普通の水辺に住む生き物だった
腹が減ったら飯を食い、身体が求める通りに泳ぐ
底の方から水面を覗いて藻が緑色に透けるのを楽しむような
平凡な日々を過ごしていた

ある日、少年が彼の住む ....
その日私は熱を出し、かかりつけ医の待合室で
テレビに映るワイドショーをぼんやり眺めていた
来るまでの道すがら風に体温を奪われ
厚着をしてきたにも関わらず、身体は芯まで冷えてしまっていた
頭はニ ....
人が通れるくらい木がまばらな林では、木の葉が鮮烈な色をしています
目に滲んでくるような赤色や、星のかけらのような黄色のものがあります
二色が混ざりつつあるような葉もあって、死ぬ前の輝きのようなどこ ....
授業を終わらせるチャイムが僕らに
仕舞い支度を促し、先生は
名残惜しそうに黒板の裾に触れて
開いた小さな穴へと3色の
チョークをぽとりぽとりと落とす

号令にやる気なく起立する僕らは
椅 ....
建物を出ると驚くほど寒い
7時間ぶりの外の世界が
熱を帯びた脳を冷ます
薄曇りの空の中
提灯のように
月がぼんやりと光り
遠すぎる等間隔で
街灯が照らす田舎道

努力の底が見えない
 ....
必ず
二人同時に好きになる
胸がときめく
最大人数は二人で
最小人数も二人で
どちらがより好みか
考えているうちに醒めてしまう
おいおい
どっちでもいいじゃないか
脈がありそうな方に ....
地下にある本屋
立ち読みした雑誌
一枚の写真
そっと感性の膜を開いて
アフリカの荒野を
胸に差し入れてくれた

ピンクのフラミンゴ
湖を染めている
見たことのない風景
フラミンゴの ....
朝、ドアを開け部屋を出たら
うなじの気配がした、かなり巨大なうなじだった
嗅覚の部署が暴走し、象一頭分くらいのうなじを髣髴とさせた

左脳が「オーデコロンに浸けすぎた女性が通った後の残り香であ ....
水色ストライプのひさしの向こうに
ぼんやりとした青空が広がっている
目の前に広がる防波堤
空の青が海の青を映したものなら
空気は随分とくすんでいる
陽射しに透けているこの小屋根の方が
 ....
私は昔、風でした
どこからが私で、どのような私か
わからないままに
木々を揺らし、髪を靡かせ
生きていました

高いところから低いところへ
汚いところも、美しいところも
青いところにも ....
朝、目覚めると妻がいなかった
身重で明後日には出産する予定だった
大きなお腹が隣から消えた
「好きだよ」と言うと「当たり前」と答える
あの妻がいない

ふらりと朝の公園へ出向く
鳩が悲し ....
鉄器風鈴の舌が鳴く
舌先に垂れる短冊
声量のある長く響く歌声
一匹はある夏風の布が
短冊を揺らすように
ゆっくりと流れ行く

風鈴は夏風が
めくる手紙にはさむ
しおりみたいなもので
 ....
まだ少し暑さが残るので
冷房のスイッチを入れる
と、角が取れた熱は
あっさりと部屋を去り
すぐに肌寒くなる

ひと夏の情熱が
夕日のごとく悶えながら
大地へと沈んでいく
ヤカンがゴツ ....
石ころ転がる山道の上
船を担いで登りゆく男前
船頭が多くいた訳ではない
ただ山を登るべき船だった

夏はいつでも暑いものだが
太陽弱まる黄昏のなか
通り雨の走り去るひと時が
大地を労り ....
夜に拾った球を舐めてはいけない
わかっていたはずなのだ
私は舐めてしまった
砂利道の中に落ちていた
黒い小さなビー玉

始めは頬がシリシリと痺れ
舌は硝子の冷たさと甘味
腐った葡萄か苺 ....
表情がない女性だった
人よりも植物に近い
南国よりも北国の植物
針葉樹のような鋭さはなくて
維管束には冷たい水分
いや維管束すらあるかわからない
造花のような表情をしていた

これ生き ....
僕は駄目な男です
僕は今日も眠ります
夢は想像を消さないと
影すら見せないので
舵は枕任せです

枕は北風を浴びて
雪で遊ぶことに
決めたようです
一面に雪が積もります
冷気が沸き ....
{引用=
振り返ってはいけない
前がわからなくなってしまう
声を出してもいけない
進んでいる事に
気付かれてしまう
前だけを見つめて
トンネルを抜けるまでは


遠くに小さく見え ....
手ごろなプールがないと
汗でぼたぼた水溜りを作りながら
巨人は初夏に愚痴をこぼした

海なんてどうかねと
杖をお守りにしている老人は
巨人には見えているだろう河口を指差した

大きな足 ....
雨樋の裂け目から
私だけに降る雨がある
長方形の庭の隅
縁側から三歩進むと
雫の群れとの遊び場

傘に隠れてよく泣いた
いつも悲しいときは雨で
そのおかげで気が晴れた
傘を回して雫を ....
食器を洗う熱湯
湯気、水流弾ける音を
換気扇が吸い上げていく

じゃばざ
じゃばばばビタばば
つるるろるうう

きゅんと蛇口を締めて
前掛けを擦り上げるように
手の水分を拭き取る
 ....
温かい日と少し寒い日が
入り乱れるようになって
太陽がある間は上着が
邪魔になってくる季節
上着はすぐに荷物になる

そでがあれば心が安らぐ
薄い長そでを着続けたいと思う
いつの間にか ....
唇を湿らせて
湿らせるからまた
乾いていく
いつかひび割れて
また舐められる


口の上に鼻があるのは
どうしてなのか
口で味わうときに
鼻も恩恵を受けるためか
初めての口紅 ....
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