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仕事を終えて 
草臥れた足を引きずっていった 
夜の職場の食堂に 
巨きな鮭のお頭達が 
どっさり、皿に盛られていた。 

たじろいだまま 
ぼうっと手を出せない僕に 
焼かれた白い目 ....
婆ちゃんが三途の川を渡ってから 
いつのまにやら9ヶ月 

日曜の朝早く目覚めた僕は 
思いついたように動き出し  
あまりの遺品の多さに 
ほったらかしていた
戸棚の奥から 
次から ....
頭上には 
世界の全てを覆ってしまう 
曇り空 

足元には 
この世に産声をあげた日の
ひかりの種 

あぁ生きるとは 
{ルビ嘗=かつ}て地上で
夜の{ルビ灯=あかり}の下に揺 ....
車椅子のお婆ちゃんの 
トイレ介助にゆこうとしたら 
誕生会の司会者さんに 
(ひとことを・・・)と呼び出され 
お婆ちゃんは同僚にまかせて 
会場に向かってわたしは走っていったのです 
 ....
かけがえのない友が
生きる場を失い 
追い詰められてゆく 

無慈悲な社会の偶像に 
人波の渦の中で立ち尽くす僕は 
只、拳を握り締めている。 

君に電話するといつも   ....
無人の霊園に吹き抜ける
夕暮れの風を頬に受けて  
墓石の下に隠れた祖母に 
両手を、合わせる。  

背後を振り返り 
見渡す故郷の山々に 
あの頃よりも増えた家々は埋もれ ....
夜の公園で座敷を広げ 
若者達は楽しげに 
互いの盃を、交わしてた。 

「あ」 

ひとりが真っ赤な顔で立ちあがり 
いつのまにか、山間に 
ひょっこり顔を出していた 
まあるい月 ....
受けたくもない 
カイゴフクシシの書類に貼る 
証明写真を撮るために 
3分写真の小部屋に、入る。 

頭と顎を 
正面に映る自画像の 
上と下の曲線に嵌めて 
にぃっと一人、笑ってみ ....
(その悲劇は約ひと月前・・・
 マイクの電地を交換しようと思い 
 なぜかマイクの頭をこじ開けた時、
 配線をぶっちぎった事から始まったのであ〜る) 


お年寄りのゲームの司会で 
お ....
雨が降ってきたので 
ビニール傘を開いたら 
突風が吹いて 
傘が捲り上がりそうなところで 
むむっと踏んばり、持ち直した。 

たとえ突風が吹こうとも 
傘の柄をがしっと持って 
自 ....
私は私の砲丸を 
(その重みを片手に乗せて) 
投げる事が、できるだろうか? 

今日という日を、生きるのか 
屍のように{ルビ彷徨=さまよ}うのか 
きっと二つに一つの事で 

いつ ....
風呂上がりの 
弱りきった小さいお婆さんの体を 
気の早いOさんがタオルで拭き 
気の付くMさんが傾きを支え 
気の穏かなIさんが、パンツを穿かせている。 

日頃ああでもないこうでもない ....
「倒れかけた鉄塔」という唄を 
口ずさんで、歩いていた。 

道の傍らに、全身は枯れながら 
太陽の顔を燃やしている 
向日葵達は 
只 
夏空を仰いで 
密かな合唱を、奏でていた。  ....
公園の陽だまりで 
走って遊ぶ子供等の 
胸の辺りに 空 がある 

花壇から 
それを眺める花々の 
花弁の奥にも 空 がある 

無心に遊ぶ子供等の 
無垢な笑顔の瞳の奥に 
 ....
あの夜空に瞬く星は 
僕が生まれるより 
遥かな昔に、消えている 

幾十億光年の{ルビ宇宙=そら}を渡り 
あの星が 
地上の僕に呼びかけるなら 

すでにこの世を去った人の 
あ ....
いつか誰もが別れるという{ルビ運命=さだめ}を 
もし、ほんとうに思うなら 
どのような人であれ 

目の前にいる人を 
愛惜しくも、思えよう 

僕の向かいの空席に 
水を入れたコッ ....
  ふみきりよ、ふみきりよ 
  無言で開いて直立する 
  {ルビ縞々=しましま}の柱に付いた 
  夜道を照らす、照明灯よ 

  ショパンの幻影が弾くピアノを
  イヤフォンから聴い ....
夕暮れの窓辺から 
あの煙突の上に昇り 
空へ吸いこまれる 
煙を見ていると 

昨日 
頭に来た誰かの一言や 
恥ずかしかった自分の姿が 

いずれ何処かへ消えゆくよ ....
きみは東京という街にやってきて 
やがてセンスを身につけるだろう 

流行りの服を身に纏い 
流行りの帽子をかぶり 
そして 
流行りの店で可愛娘ちゃんと食事する 

しかしだな 
 ....
深夜、スタンドの灯りの下で 
古書を開き、ふと顔を上げれば 
暗がりから、祖母の遺影が微笑み 

隣には、先月三途の川を渡って逝った 
富山の伯父の葬儀に行った 
お礼に贈られた 
金箔 ....
{ルビ若布=わかめ}の{ルビ疎=まば}らに干し上がる 
六月の浜辺を振り返れば 
今迄歩いて来た僕の 
たどたどしい足跡が 
霞がかった岬の方まで 
延々と続いていた 

あの岬の幻は  ....
白い壁に掛けられた 
金の額縁には 
名も知らぬ画家の描いた 
淡い水彩画の少女 

朝の光に透けながら 
すきま風に膨らむ
カーテンの窓辺に佇む
黒い瞳の少女 

日々多くの人と ....
「コチラハ廃品回収車デス 
 御家庭デ不用ニナリマシタ 
 テレビ・エアコン・冷蔵庫等 
 壊レテイテモ、構イマセン 」 

夕暮れ時に
2階の窓から眺めると 
我家の前の川沿いの道を  ....
私が幸福を 
忘れてしまうのは 
きっと「私」を
握り締めてしまうから 

もしも「私」を手放せば 
空っぽの透けた体に 
(風ノ人)が入って来る 

そして両手を組み合わせ 
私 ....
仕事から帰ると 
三ヶ月前に世を去った祖母の 
妹のI叔母さんが 
ソファーに腰掛け 
親父とお茶を飲んでいた 

母ちゃんが 
「お茶をもう一杯・・・」 
と言うと 

I叔母さ ....
湯舟から上がり 
シャワーを浴びていた 

足元に汚れたものが
落ちていたので 
シャワーをかける 

しゃがんで見ると 
細い足で 
タイルの{ルビ縁=ふち}にしがみつく 
一匹 ....
誰もいない静かな部屋で 
時折鏡を、覗いてみる。  

目はふたつ 
鼻はひとつに  
口ひとつ 

奇跡を行うこともなく 
些細な魔法もわからずに 

背伸びをするわけでなく 
 ....
世界のすべては 
すでに 
あなたの内に在り 

日本の何処かで 
今日生を受けた赤子の産声も 
火葬場で燃えて遺骨になった 
老婆の{ルビ御霊=みたま}も 

すべては 
私の内 ....
チェーン店のカレー屋で 
「グランドマザーカレー」
を食べていた 

自動ドアが開き 
ヘルパーさんに手を引かれた 
お婆さんが店に入り 
隣の席にゆっくり  
腰を下ろした 

 ....
くたびれた足を引きずって 
いつもの夜道を帰ってきたら 
祖母の部屋の窓はまっ暗で 
もう明かりの灯らぬことに 
今更ながら気がついた 

玄関のドアを開いて 
階段を上がり入った部屋の ....
kauzakさんの服部 剛さんおすすめリスト(114)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鮭の頭_- 服部 剛自由詩409-11-2
祖母の家出_- 服部 剛自由詩609-10-25
詩人の樹_- 服部 剛自由詩509-10-24
はっとりんの誕生会演説ー職場の老人ホームにてー_- 服部 剛自由詩109-10-13
Protest_Song_- 服部 剛自由詩3*09-10-7
夕闇の暮れる、その前に_ー祖母の墓前にてー_- 服部 剛自由詩6*09-9-17
お月見の夜_- 服部 剛自由詩309-9-15
「_証明写真_」_- 服部 剛自由詩209-9-9
マイク事件_ーはっとりんの反省文ー_- 服部 剛自由詩4*09-9-3
傘をひらく_- 服部 剛自由詩3*09-8-31
ひとつの砲丸_- 服部 剛自由詩309-8-25
私は、見た。_- 服部 剛自由詩6*09-8-22
夏の終わり_- 服部 剛自由詩609-8-18
花と子供_- 服部 剛自由詩509-8-14
風のなかに_- 服部 剛自由詩509-8-11
新盆前夜_- 服部 剛自由詩309-8-10
夜の江ノ電- 服部 剛自由詩4*09-7-31
あたらしい太陽- 服部 剛自由詩6*09-7-23
寅さん、語る。_- 服部 剛自由詩509-7-21
(_もうひとつの世界_)_- 服部 剛自由詩4*09-7-9
明日の海_- 服部 剛自由詩909-7-3
窓辺の少女_- 服部 剛自由詩16*09-6-17
デクノボウの詩_- 服部 剛自由詩609-5-31
風ノ人_- 服部 剛自由詩109-5-14
「_祖母の部屋_」_- 服部 剛自由詩709-5-4
団子虫の最期_- 服部 剛自由詩509-4-16
月夜の草_- 服部 剛自由詩909-3-27
小鳥の唄_- 服部 剛自由詩309-3-27
稲穂のこころ_- 服部 剛自由詩1109-3-22
遺影のまなざし_ー四十九日前夜ー_- 服部 剛自由詩2009-3-10

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