すべてのおすすめ
仕事から帰り
洗面台でうがいをする
ぶく ぶく ぺぇ
ぶく ぶく ぺぇ
まっしろな洗面台の
お湯と水のつまみは
少し飛び出た両目で
真中のましろい底に
丸い口を空けたま ....
幾十年も働くということが
途方もなく長い道のりに思え
僕はひとまず荷物を降ろし
ありきたりないつもの道を外れ
目の前に広がる
今日という日の草原を
無心で走ろうと思った
....
主任のおばちゃんが
残業時間につくる勤務表と
にらめっこしながら
(あの人の性格はああだから・・・)
(この人の性格はああだから・・・)
と頭を抱えていた
なにができるでも ....
「 はい 」
穴だらけのわたしはもう
この一言があればいい
今まで
たった二文字が言えず
眉を{ルビ顰=しか}め、頭ばかりで
あなたとわたしの「正しさ」を
{ル ....
一人のひとの
こころに宿る
一つの宇宙
銀河の塵を何処までも
深く掻き分け泳いだ場所の
無明の闇の広がりに
ぽつんと一人
ひかりの人が
仏の姿で坐っている
....
サングラスをかけた
全盲のおじさんが
若者のリュックにつかまり
地下道に入っていった
ポケットに手を入れて
道に佇むぼくの
目線の先に遠のいてゆく
ふたりの背中
....