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葉桜の並木道を一台の霊柩車が行進していくのは
28℃
「にじゅうはちどしー」
と、略さずに呼びたい一日
の真白い光
噛み砕くと
腐った果実のにおいが広がる
※
額から垂 ....
※
えぇ、ご指摘の通り、これはシベリアンステップの凍土に眠る名もなき独逸の冒険家が手首に巻いていたスカァフです。それはさておき私の話をまずお聞きなさい。
※
一小節、まだ ....
ちょうどあそこの
宅地に囲まれた
整地もなされていなくて
誰も見ているけど
誰も知らないような
小さな野っ原
まずあの野っ原がなければ
始められない気がする
姿のない声が
はっき ....
仕事を終えて
アパートの玄関を開ける
先日
酔いすぎてもどした
消化途中の言葉尻が
まだ
黒ずんだ上がり框に
飛び散っている
向かいの棟の方から
チリチリと音がする
数日前か ....
※
正確な円い輪郭を、灰色に淀んだ空にくっきりと浮き上がらせる
午後の弛んだ日射しも少しばかり傾き始める
根深い霧がこの港町から抜けることはなく
ここでの昼とはほんの少し明るい夜のことを言 ....