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その夕方は
台所のテーブルに
向かい合って座り
母は
きんぴらにするために、ごぼうを
笹がきに削いでいた
わたしは、その灰汁で黒くなった指の先、手を
目の中に映し撮りながら
小窓か ....
雨が抑えている
気持ちにふたをして
重くのしかかるのは
度の強すぎる眼鏡のよう
咳こんだところで
深く吸ったところで
するのはただ、土のにおい
しみてゆくしみてゆく
こころもぬれて ....
捨てるように なぐり蹴るように
削ぐようにして
落としていっても
それはあなたの ものだ よ。
てのひらに集まる
てのひらによせるならば
そう 小さな花びらのやさしさで
包 ....
白い絵の中に
あたしひとり
どこかしらへ続く道の上を
あるいている
果てなのか
入り口なのか
雨が降ってきた
どこまでも{ルビ清=す}んだ
スコール 激しく
白い絵は白いままで
....
いのちが灯る
こころが発する
ありがと
ありがとう
かれていっても
そこにあった
事実
見送るわたし
走るきみ
(または逆)
ことばよりもっと
かたりかけるもの
色も感 ....
小さな花びら ひとつうまれた
小さな掌 くしゃくしゃ 紅い
ずっとつぼみで いたんだね
(ぱっと広げた花びらには、むげんのかけらが ふわり)
月の光に 太陽のうたに
とけそうな影を 何度 ....
らいめいもそぞろにして
雨が走ろうとしている
つけっぱなしだった 冬が
おやすみの汽車へ
にもつは半々
手からしゅるる
えいえいえおお
らぶはそれ以上
ゆれゆれトロッコ
....