すべてのおすすめ
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃
診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った
遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
水の中に
水の流れは
ある
散らかった 地上の
裸足の 指先
踏み入れた途端に
邪魔にしかならない
底に つかずに
囚われる しかなくても
ついてゆくよ
ついておい ....
ねむらない 転回
の上
めざめようと 立つ
剥がれていく
瞼 こすれ
短くとも
大破 の 孤独
燃やしたい
卵二個とひきかえに
体を売った 女の子
てびきした 少年
十代らしい
権力のある大人が
相手 らしい
新聞記事 外国の記事
よいわるいではなく
よわい立場で
....
障子を そりで 滑る
目で 滑る
黒い瞳は 夜で
誰かが つぶやいた
名前が 揺れて
ずっと そばにいるんだ
閉めた囲いの
中
すべっていくんだ
破りとって
消えないという事に
みつけない
さらわれて
くず にした さっき
ぬるくなった キィ
叩き付けたいのに
整った 配列 に
とりもどして しまう
ひとみ ....
鳴らされる時刻に
数え切れない まま
返らない
ちたり にたり
輝きに かぶさる
すりあわせた 足
なぞるものが
なぞれない 体に
さされ
乾いていく
血
たったったっ と少年が
往来を小走りに行く
戦争が はじまるかもしれない ので
外国人が 多い
声をかければ 靴を磨かせてくれる
稼ぎ時だ
記者だという男などは しきり ....
ふるい舟が遠く
波をおこして
海の中
泉をわかせる
空に近く
のびた飛沫は 羽
ふさがれた土地
求めながら
陽射しに
日陰 ゆるしながら
いかり をあげ
悲し ....
新しい雨合羽を買うという
同じ色で良いだろうという父に
母はピンクがいいと言った
野良着は 弟のお古でも いい母であった
農作業の汚れは しつこい
捨ててもいいような服を 着ては ....
小雨の降る日
林檎もぎは雨合羽を着る
雨水が肌に流れてくると
体が冷える
袖口と 首を
丁寧にタオルでふさぐ
滴に濡れた林檎は
しんとして曇り
ひとつ ひとつ 手作 ....
まとわり とけない まなざし
つめない にもつに とまどう
あかるい まよなか のみちに
めをとじ かすかに ほほえみ
どこへも いけない かなしみ
どこへも むかえる ....
もじれつ のはいれつに
ふるいに かけられた
おでこーろん
さややかに よこにも
つるきん たてにも
とろく とろ とこ
ちいちゃな いしは
はじきとばし おー
お ....
敷かれて行く なごり葉
ほつれた 眼線 が吹く
いつとも いわない
いつかも しれない
点けられた なつ
すすき の 香り に
消されてく
十重 の 隙間 に
刷か ....
もう 遠くに 届いて
行ってしまいました
誰の後を追って
なだめても
すましても
輝けない かぐわしさ
ぽつ ぽつ ぽつり
とおく とおく まもなく
いっ ....