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娘とふたり
バスに揺られている
おまえが置き去りにした
ウサギの手さげ袋は
そのままバスに乗って
湖近くの営業所まで
運ばれたらしい
忘れ物はぜんぶ
そこへ運ばれてしまうのだ
....
生命(いのち)をつなぐ
赤い水
ぽたりと
真新しいノートに
染み作る
泣きたいのに
涙は出ない
代わりに赤い水が
川となる ....
深く 深く
この想いはどこまでも暗い
光(ひかり)も無い
希望の兆しさえ無い
淀んだ空気の中に
いつまでも溶け込めずに
蠢いてい ....
家の明かり
夜空の光り
夢か愛かの
朝の冷たさ
ため息と
確信の
タペストリ
家の明かり
夜空の光り
夢か愛かの
朝の冷たさ
暗いトンネルを何度も何度も
駅に着けど
誰も下車せず乗車せず
また暗いトンネルを何度も何度も
帰郷した
暗いトンネルもなくなり空には月があかるい
トンネルに響く轟音の代わりに虫がう ....
景色は状況を語る
言葉はいきさつ
音楽は気分
世界は外見で隔てられ
見えないものがつながったと
感じるのは一瞬で
次の朝は清々しく
生まれ変わる
夢で冗談みたいな
現実を見る ....
ラプンツェル、ランプ灯して
真夜中のキャベツ畑で何をしている?
キャベツ畑そぞろ歩きのラプンツェル
魔女にひっこぬかれてしまうよ
ラプンツェル、
腰に吊るしたランプが揺れる
夜 ....
待ち受ける困難や痛み
なんて
わかんないけど
意味も見出だせないまま
正しさと虚しさ
重さ以上に
理解をこえてる。
今はただ憂いを抱いて
枯れた花のように
揺れる時を眺めるだけ
風の色は悲しく
モノクロームの冷たさと
隣り合わせの絶望が
静かに溶けてゆくのがわかる
土が湿り 空をも動かす
....
こびりついた塊
夜更けに通りすぎる重いイメージ
まな板の鯉
振り降りてくる
刹那
すべてがフリーズする
冴え渡る秋の空のそれ
明日への扉は望まな ....
分からないことが
きみの
口に
つめこめれて、むきだしにされた
まま、きみは運ばれていった、
夜には、
わたしの口に、きみの死が
押し込められて、
何もできないということの ....
きみを覆いながら
明け方
恋は側溝であった
大木を根こそぐ竜巻の強さでわたしの右足を巻き込む
この浅さで溺れる
母に嘘をつき
父を裏切った
上睫毛と下睫毛を固く結んで拒んだ景色
目 ....
寝苦しい熱帯夜抜け
頬を撫でる風向きも変わる
部屋の明かり消して
闇に耳を澄まそう
きこえる きこえるわ
微かな鼓動 儚げな虫の音
戻りたい あのころに
なにも知らなかった
君を待つ寂 ....
死んでいない
だけど生きてはいない
君は生きていないのだろう
だけど死体ではない 僕ではない、君は
街の中 過ぎゆく笑顔の中の一つだろう
ちがう死んでいるじゃないか
呼吸はどこだ 笑い ....
空から
落ちた日のことを
おぼえていない
海を
ながめることを海として
その浅きをのがれる
すべにおぼれる
太陽はもう
ことばではないけれど
確かにぬくもる
....
雨の降る寂しい夜は
樹海に似た空気を宿している
車の黄色いヘッドライトが雨に溶け出して
道端の排水溝に流れていくさまに寒気を覚えながら
傘もささずに一人歩いていた
煙のように揺ら ....
星になろうか
蛍になろうか
骨壺と帰郷してきた
あぜ道の先に鉄塔の里山
夏は盛りで
田は青くそよぐ
懐かしいともいえないぐらい
生家はそのままで
特に変わらない父が
特に変わらな ....
夜に泣く
貴方を知った
その日から
逢えるその時を
夢に見て
遠い地で
私はひとり
貴方を想う
愛を語り合っている
....
命を選択し
整えられていた
この小さな庭に
あなたの命が
バラ撒かれている
色のない八月の跡
いつもより早く仕事を済ませたとて
やりたい事など特別何も無い現状
無理やりに酔っ払ってでもいないと
押しつぶされそうなのは心ばかりでもない
逃避するほど豊かな精神性も無く
すがるほど人を ....
一群の人が祈りを捧げている
月を見ているのだ
やすむといい
深く川は
あなたのみなもとまで
流れてゆく。
あやつり人形のような
お前だった
細く、長く、
私の随分先を行ってしまいそうで
失うのが恐くてお前の腕を
強く握りたかった
でも
パラパラと砕けそうで
出来なかった
....
もう忘れなさい
ぼくらは前にあるものを見ていこうするとき
過去なんて記録にすぎなくなるから
あなたに
会うことは
やめました
それは
なぜかって
あなたの
新しい
恋人に
水を差すようなことは
したくないからです
電話を
かけるのも
やめました
あなたの
新し ....
行ってきます
、、、。
車の中は静かで
目の前のコンビ二のわきには
納品のトラック
から荷物をすばやく降ろす
作業員がいた
静かな夜だった
....
想いが素直にことばになったときは嬉しい
けど
あなたにちゃんと伝わっているかどうかはわからない
だから ちょっぴり不安です
ねぇ
ちゃんとつうじていますか
私 の{ルビ 詞 = ....
電車の あっち と こっち
{引用=す………
…き……
……だ…
………よ}
もう会えない
{引用=……なら}
僕はもう生きてちゃ
いけないみたい
ごめんなさい。
その声が怖くて仕方ないんだ
振り上げた手が僕を
そんな妄想に
捕らわれてしまって――
苦しい
胸が苦しくて
全ては僕が ....
今にも殺められてしまいそうな
そんな真っ白で鮮やかな月でした。
あなたは砕けた直後にこの胸のうちで氷解し
けれどわたしはそれを生涯忘れぬと誓った。
零れないのは夢物語と願望で
いつだって ....
帰っていく
町のともしびが
冷たくなって
帰っていく
月の出ない晩
朝まで
何の鳥を鳴かせよう
誰かがきた
また遠のく町に寄せる
手紙と同じ重さの波
海が近い
花 ....
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