何年前のことでしょう

冬の枯れ枝に
雪が花を付け
陽の温度と引換に
白肌は氷と散った

何ヶ月前のことでしょう

雪の川辺に
冬が根を張り
せせらぎの冷気と交わして
風に花を誘わせた


何日前のこ ....
こんな所にはもういられない
そう言って父と母は銀河系から出ていった

僕らの親の世代までは
宇宙へ飛び出せる羽根があった
僕らは二メートルも飛べない足で
壊れてゆく地球を踏みしめている ....
ひとり夜を歩く
頭上には
ペガススの天窓

自分の足音が
なぜかしら胸に迫る
何を思えばいい
何を どう思えばいい

道は暗くしずかに続いている
心をどこに置けばいい
心をどこに ....
海辺のテニスコートまで歩いていくと
忘れられた言葉たちが孤独なラリーをしていて
ボールを打つたびに会話をしていた

僕たちは細かく絶望的に分たれた世界の層の間にいるんだ

ここでは漂着する ....
病人は目を醒まし
言葉にならない声でさけんでいる
葬儀屋が切り取った脚を
箱に入れて去っていく
皮膚は黒かったが
骨は白いままだろうか
もっと遠い窓の向こうでは
咲いたばかりの花が
離 ....
曇天
どんてん
どんどん
ててん

くもり
ぐもり
空そら
そらら

曇天
どんてん
どどどん
てててん

くもりぐもり
もぐらもぐり
もぐれぐもり
ぐらりぐら ....
口の中に微かに鉄の味がある
コートの袖口が擦り切れている
錆びたドラム缶からはいだして
月下の廃工場を後にする
奏者を失って久しい機械が
ほの青く光る一群の風琴になっていた

鳥が飛び立 ....
痛み

傷と呼べば嘘になる
負うを認めれば
悲劇に拍車がかかる

麻痺
緩和
傷と呼ぶにはおこがましい
痕を受け入れれば
強がりは陰を落とす

傷など負っていなければ
抱え ....
亡くなった祖父宅で書庫の整理をしていると
奥にある一番古い棚に
ザムザ虫が大発生しているのを見つけた
古い貴重な文献があらかた喰われていた
あんまり頭にきたものだから
スリッパが汚れるの ....
「もしもし、もしもし、神様ですか?」
 祖父から譲り受けたアンティークの電話機で、佳子は今夜も何者かと会話している。その電話機は飾り物でコード゙は何処にも挿してない。まあ、神様の声を聞くのに電話線を ....
佐藤犀星さんのおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
翼を無くした嬢- 見崎 光携帯写真+ ...309-1-2
さよならユニバース- 楢山孝介自由詩5*08-12-28
ペガススの天窓- 塔野夏子自由詩6*08-12-5
えいえんとしてのラリー- 灯兎自由詩408-10-2
四月- 岡部淳太 ...自由詩1108-4-23
曇天- 楢山孝介自由詩3*08-4-16
青い花- ダーザイ ...自由詩1408-4-11
尊さ- 見崎 光自由詩208-1-27
書庫で踏む- 楢山孝介自由詩207-11-10
佳子_1997冬- ダーザイ ...散文(批評 ...14*04-4-19

Home