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賽の目に
切りながら
豆腐一丁ぶんの
愛がほしいと
てのひらで
哀しみが
揺れる夜
....
うす汚れた魂を
夜更けに洗う
洗面器に冷たい水を張り
ひとつまみの塩でもみ洗う
不信と後悔がにじみ出て
....
あかるいあかるい夜でした
そっとまぶたを閉じて横たわり
窓から手をさしのべる
やさしいやさしい ....
こんな日がくることを
いつから知っていたのだろう
告げねばならない
それがわたしの役目 ....
気をつけたまえ
背中を向けて
眠るとき
寝首をかくかも
しれ ....
きみに桃缶をささげよう
からっぽの胃にそれは
やさしくおさまるだろう
あまい汁は熱 ....
そのときがきたら
「やぁ、おそかったね」と
にっこりわらって
かみさまと握手をしよ ....
きゅうりに背骨は
ないけれど
きみの背骨は
きゅうりの味が ....
毛布の中で
顔をうずめた
汗と熱のこもっ ....
白いものがまじってさ
だんだんそれが増えてきて
やがてまっ白になるまで
きみを見ていた ....
降らずの空は高すぎて
手を伸ばしても届かない
花曇りの憂鬱ならば
....
疲れちまったと吐き捨てて
ビールをあおり
憂さを晴らせるうちはいい
吐き出す言葉す ....
人のまばらな駅のホームで
うなじが捉えた陽だまりは
やさしいまでに背を撫でる
電車がくるまでに ....
さくらの花びらにあなた宛ての
手紙を書きました
そろそろ、そちらにつく頃でしょう
花びらが散りましたら
したためた詮無き ....
さむいさむい小さな箱の中、そこがふたりの始まりでした。
ほっぺを真っ赤にしたトマトはまるでお日様をそのまま
詰め込んだようで元気いっぱいはちきれそうです。 ....
拳のなかで
石は砕けて粉と散る
返す言葉はどこにもなくて
....
せつなさと呼ぶにはうす汚れ
虚しさと呼ぶには大げさすぎる
そんなありふれた感情は ....
細胞のひとつひとつが
ふつふつと沸騰しはじめ
身体ぜんたいが熱を帯びる
生きている ....
白いハンカチを
一枚買いました
うすいうすいハンカチで
....
なぁ、もう啼いてもいいっしょ?
まだはやかんべ
....
死んでしまいたい夜に
みそ汁をつくる
干からびた大根のしっぽを
短冊に ....
ねむれぬ夜に枕抱き
布団のなかで寝乱れる
寝巻きの裳裾はだけては
さむいさむい ....
十六夜の月の下、夜の庭に釣り糸をさげ
きみと並んで話をしよう
安い焼酎をいつものように飲みながら
....
うず巻くきもち重くなり
短く髪を切りました
あなたに背を向け隠しても
うなじがおもい語ります
....
春を恋うように
遠いあなたをおもうのです
眠れぬ夜の午前三時
あたたかな布 ....
誕生日の夜、いなくなりたいと言った
それは嘘だと知っている
....
それは雲ひとつない空でした
たかくたかく透きとおり
どこまでも見わたせるよう ....
見守るときに風なびき
見つめられたら月満ちる
手を重ねては夜を抱く
....
朝のニュースより
今朝方未明、すずめの涙に溺れたとみられる
中年の女性が遺体で発見されました。
....
静まり返った昼下がり
猫は店先の陽だまりで
金魚は薄くらがりの水槽で
うたた寝をする
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