蹈鞴川
それが、何処の、監獄の壁から吹きつけてくる風なのか、
匂いなのか、鉞の一閃なのか、夢は深海の泥土に塗り潰されていて、
傷のように甘い、一瞬の移ろいをへて、妹が何度でも私の、
....
新幹線で夜を抜ける
街の明かりはゆっくりと
夜は星のようなところだ
見落としてもいいよ
きみにおかまいなし
生活がそこにはある
新幹線で夜を抜ける
街 ....
それは5年間に起きた出来事
たとえば私にとっての27才からの5年間は
少し人生を棒に振るような生き方をした
驚くような世界をいくつか知って
感情に呑まれて行方がわからなく ....
ふたりでならんで
小鳥のようにねむった
特快にのりかえず
快速のままそうした
これからおたがい
別々の仕事場にむかうわけで
相方はアポイントに間に合うのか
俺 ....
さー さー さー さー
大きな幹を辿って見上げると
高い高い所で
葉っぱが風に揺られて擦り合っているのだった
庇と庇の間のわずかな空間を抜けて
この木は人々に囲まれ ....
お兄ちゃん、と
呼ぶのが
照れくさくて
そのまま
僕たちは年をとった。
あなたは家を出て
後を追うように
私も出て
あなたは戻り
あるいは他所の国へ
私は
死ぬまであなたの弟 ....
刈り入れ、葉、枯れ
わたしたち。
貧窮は カタカタ 呼ばわる
明るさについて。
茎が折れ、そのあたりを、
嗅ぐ。 鼻孔、ひらき、
足も萎え、
何度もなぐられた ....