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胸の高鳴りは
音を遮り
研ぎ澄まされた神経を
秒針に乗せた
煙草の煙が
静かに揺れる
高さの違う肩は
鼓動を揺すり
目線も上げられぬまま
呼吸を戻す
長さの ....
瞬きをする音さえも
聞こえる程の静寂
灯りが 燈された
不眠症の人間の 寝室
あなたは
机に向かい
一心不乱にモノを
書き綴る
その指は文字に塗れ
あたしは
ベッド ....
三日月が降らせた星は
角砂糖のようで
アタシをわくわくさせた
あしたのことなんか
いいや
そんなふうに想いながら
星見夜月のシロの中
角砂糖の星は
カラ ....
おいで
全部渡さないけど
全部あげるから
あなたのひとみから
こぼれ落ちた悲しみが
約束された事象の
織り込まれた糸を伝い
ぼくを貫く
海底のような
揺らぎのなかで
ふたりの合わさった痛みは
祝杯をあげるように
胸の水盤 ....
君と私が会うと
言葉を 眼差しを交わすと
りんどう色の深淵が しずかに生まれてゆく
言葉を 眼差しを交わすほどに
それはしずかに 深まってゆく
二人して覗き込む
そのなかば透きとおった ....
***
明日の
天気に
首をかしげたり
紅茶の中で
角砂糖が詠うほわほわと
スプーンを遊ばせたり
そうでした
ぼくは
ぼくをさがさなくてはいけない ....
桜吹雪の中
傘をさす贅沢な午後
蝶の心で 空を舞う夢を見たの
あの真昼の月を掴むのなんて
容易い事だと告げている
誰にも見ないけど きっと
疼く左手の薬指を隠して
貴方に ....
この歌の横顔にあなたがいなくてよかった
坂の上にぽっかりあいた空は遠くて
青くない方がいい気がした
降ってくる光が指先を透過して
平面なわたしが散らばり始める
透明になれなかった二人 ....
さようならのかわりに
しあわせのかずを
かぞえてくださったなら
さいわいです
きおくのぺーじに
しおりていどに
はさんでくださればけっこうです
いつかなくしてしまっても
それは ....
君のまつげが
ふいに
揺れて
まるで手のひらに
雨粒をうけるように
かなしみを
見上げている
そうして
たった今降りだしたかのような顔をして
胸の中に一気になだれ込んで
....
あなたが感じた
その美しさを
僕の手のひらで触れることが出来るのなら
あなたが感じた
その痛みを
僕の右足で蹴ることが出来るのなら
あなたが感じた
その優しさを
僕の頬がさ ....
さっきまで
少し怖い夢を見ていたんだ
もう覚えてないけれど
だからホッとしているのかな
左耳のピアスの穴ごしに見る
生まれたての世界に
君がいち ....
「球の描き方」
水の中で目を開けた
融けなかった青が
からだのなかに入り込もうとしている
皮膚のあいだから
――それは恐ろしいことだった
夕方が近づいている
....
傘のほね
しずく垂れるさきっぽ
ぼうっと煙るような空を
みていた
置き忘れた想い
片手いっぱい
こぼさないように抱えたまま
見つからない答えを
いつまで待つの
むらさきの花が ....
私たちの密やかな想いの始まりは
八月の明るい月の下
小さな灯りを頼りに
貴方の指にそっと触れ
少し汗ばんだ手と手を繋ぎ
それだけで胸は高鳴り
それだけで充分に潤い
そのままの格好 ....
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