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あ、
雨の夕刻は
アスファルト状の黒いノートにおいて
ひとつぶ、ひとつぶ、別々の
無数の濁点だ、
*
雨滴、
雨滴、
黒く
滲んで
広いひとつの痣として ....
遠い管楽器の呼吸が
校庭にゆき渡る
共鳴して震える放課後の
まぶたが橙色にうつ伏せて
伸びてゆく睫の影が、滲む
正しく失われたチャイムの
赤い、低い、余韻
その、金属の香 ....
指の願い
叶わず
雨垂れて落下する夕暮れに
そっと逆らい 立ち上がり
すとん と見下ろせば
窓硝子に迫りくる夕闇に もっと ひろく
もっと しとしと
見下ろされ
あ ....
プラットホーム
薄青く透けた空白へ
真っ直ぐに冴え立つ
色の無い脊椎の林の
プラットホーム
始まる
冬の朝の微細な輪郭線は
薄荷のことなど忘れた振りをしよ ....
夜の雨の
斜線、斜線、斜線、
*
秋の真昼の真下
やわらかい一続きのわたしの輪郭は
ある一続きの輪郭の生きていることを
やわらかく深く知ってしまった、そして ....
すう…、と
夏が引いてゆくにつれ
風に乾いた砂が
自ら風になる
砂に埋められていた
右の素足と左の素足が
柔らかに打ち明けられるのは一瞬
直ちに、衣服へ、衣服へと仕舞われ
....