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わたしはピアノなのだろうか
誰かが
わたしの蓋が開けたら 喜ぶだろう日に
開け放たれたの

なのに あなたったら こころが ふらっとにのっちゃって
わたしをメゾピアノにもさせないで
わた ....
【わすれがたみ】
ある夏の日
百合の花柱を
みつけました
薄紅に透ける花弁には
まっすぐな いのちの
いとなみが ありました
それは
ふと おもいだしたくなる
この夏の わすれがたみ ....
【また きます】


「雨が降り始めましたから
みなさん もう いそいで 降りてください」
と云われて 震えた
そういわれて わたしは いそいで 
その場を離れてしまった

ほんとう ....
忘れられないのです
満月の夜に
海面が砂金のようでした
星々は だまって それを見守ってました

海蛍です

しずかに群れはじめ
そっと
この足首を
群れの真ん中に沈め
かるく  ....
【水だ】

空が、しだいにコーラルブルーに
かすむ

骨だけになって、鯨は
今日も尾頭付き

水族館の いっかいから 
          二階にかけて
       ....
私の スカルは 玻璃(はり)の うつわ
スキルは からっぽ なにもないわ
I am a ボーンヘッド頭が固いって言われてる 
けど いつかきっと はじけるのよ
石頭なりに 夢見ているの 

 ....
ちぎれた 火の粉を雫の中にやどした言葉たちを超えて鳥が謳う
ほととぎすは 夜通し歌をもやし、カッコウは霧雨を もやし
溶接工は、鉄を燃やして繋ぎ合わせノアより巨船を創り
アリアは、魂をすく ....
おみ足で、探る新鮮な立ち位置
なまあ詩人の

なは、縄張りしらず
まは、マイペース
あは、明るい挨拶あはあはあは
しずかに咲いてる朝の散歩の

すみれの花
あさきゆめのように ひとつ星  
だきすくめられ 星めぐり
ゆめのなかには 花めぐる
はなれていても
ちかくにいても なにひとつ かわらず
こころの中に 花は咲く


ゆめ ....
蛍の光は ブルーノート ラプソディ
またたくまに いちめんに連絡を取り合い
思いのたけの いのちの一陣の すいみゃくを
はしゃぐように かわもも 橋も 光で覆う

おおわれた わたしや
お ....
人魚のことばは あぶくです
なにを しゃべっていても 語尾はいつも 
めるふぇんて わたしたちには きこえます
うろこののこる おみあしは めるふぇん です

人魚のゆびさきは 笹船のよ ....
【九連宝橙】


目を奪われるような荘厳な展開だ
鳳凰の風が 吹いている
いち早く 声をあげるべきか

二度見をするが やはりそうだ
三度三度負けを繰り返してきたが
四方 ....
「見えない人」

耳の不自由な人との 暮らしは
目も不自由な人との 暮らしは
あんがい 子供の頃に抱いていた夢が
叶ったのかもしれないな
子供の頃は 透明人間になりたかったのだっ ....
【昼間の星】

こんにちは 昼間の星々
雲の姿は無いというのに、私たちには お互いの姿すら見えない
腐りやすい私たちのこの身体よりも もっと高い深みに
あなたと私の心 ....
空がこんなに青いのに
死にたいと嘆く 冷蔵庫101号室に住んでいるレモンなんてジュースにして
空のそらぞらしさなんて
御構い無しに たわわに実った 金柑の実を小鳥のようについばんで
よもぎのパ ....
レンアイの卵


広陵な田園に聳える高枝に レンアイの卵は産み落とされる
おさない心ほど 枝の先にあるものを見つけてしまう
大人たちは  森が隠しているレンアイの卵のことを知ろうともしない
 ....
■■■
■■■ 電車の連結部で
■ ■ シュノーケルの音
■ ■ 渚が車窓から消え
    つり革の人々は
    相変わらず揺れ
■ ■ 大波小波が
■■■ 電車内の人々の足を濡らして ....
OMOTENASHIわたくし 妖怪 おもてなし と申します。
わたくしの体のほとんどの部分は 水とコラーゲンなのでございます。
人間の水分量は たったの六割だそうですね。 
よくそれで生きていら ....
しろく しかくい たてものの中から かわいた無数の命の声がするのを
しずめるかのような噴水

しろさ きわだつ 広島平和記念資料館を想いながら
床についてみた夢は
しろい塩で できた ....
【みずのように】


蛇口を くぃと ひねると 水が拡散し 飛び散る
靴裏が もえる じっとしてると 背が暑い
のびをすると 山間の風は 水の匂いがして

いままで 聞いたことの ....
海の縞模様が 砂の城に 住んでいます。
幸いなことに 泣き方をしらないのです。
今も絶え間無く砂が この街に注がれ続け
この部屋の容積も 埋められて います。


元居た場所を け ....
雨が硝子を 舐めるので
時間すら 舐めまわすので
歩くことの意味や 進むことの意味も舐めるので
この世界には もう 紫陽花しかありません

飴細工のように 雨に舐められて
窓の向こう ....
*壱*マダナイへの手紙

「あの猫の名前はマダナイっていうんだ」と、教えてくれた人がいた。
ああ うわさは聞いたことがある。
明治の文豪の家に 飼われていたという 噂だった。  ....
ひどく風の ある日
ひとの顔ほどもある木の葉が
ぬいんぬいんと おおきく 
円を えがいたり
突然 すさまじい勢いで 遠くに
流れてゆきます
空は ごろごろと 唸っています


ひと ....
しずかな つばさの抑揚に
呼吸を あわしながら歩きます
しろさの きわだつ蝶を
追うとき わたしの 肩甲骨も
空を感じてました

「おたんぽぽしてるの
ふうてん とばそ」
 ....
プラナリアに会いたい
永遠の命かもしれないプラナリア

世界は、春霞ではない 黄砂だ
降り注いでいる微妙な沈鬱が 世界を覆っている
それでも 季節はまだ めぐっている
水仙の花は ....
いわれの無い 悲しみは
こどもの頃の 押入れの匂いがするから
布団のすきまに押しこんだ
この目は きっと赤

ともだち
と いう響きの電話の声が
「いまから 出かけない?」と ....
とんぼが にげない すこしも
とんぼの 目の中に わたしが
たくさん いるというのに

あぶらぜみが にげない すこしも
目線のたかさ で    なきはじめた
あぶらぜみ わたし ....
あなたに出会いたい



だまって真実だけみつめている あなたに出会いたい

玄関に かたい錠をかけたままの あなたに あいたい

あなたは だれの 姿もみようとはしないで

窓を ....
《人たらん》


人たらん人になりたいと 男は思いました

道程などと つぶやきながら



人がたらん人がたらんと 別の男がいいました

道には人が あふれかえっているの ....
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