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あの日僕らは
夏をいっぱいに浴びながら歩いていた
中空を惑星のようにめぐる虹色の夏の果実を
気ままにもぎとっては
かじりながら歩いていた
ふと蝉の声が途絶えたとき
目の前に幕があらわれた
....
空っぽの硝子の鳥籠に
早春の光が淡く虹色に差す
そうすると
わたしはうすい水色の服を着たくなる
――籠の外では生きられない
華奢ないきものだったはずなのに
でも囀りは ....
暗い残暑が滴ってくる
百日紅の花から
蝉時雨から
空を斑に彩る不穏な雲たちから
遠雷から
幾重にも重なる過去の記憶から……
暗い残暑が滴ってくる
そうして私の底に
暗い染み ....
あたりは仄暗い
無数の墓標たちが漂っている
言葉たちが 沈黙の淵へと沈み溶けてゆく
悼み 祈り 鎮め
どんな言葉も私は選び掬い取れない
ただ この沈黙の淵から
いつ ....
雨季が明け
浄らかな風吹く夏の午前
こんなときは
あのきらめく湖面と
小さな桟橋に立っていた君の姿を
思いだす
君はかつて歌っていた
約束の地のことを
そんなものは何処にもないと知 ....
私の中の
幽暗な領域に
潜むひとつの刻印
おそらくは私という存在の始源から
其処に深々と刻まれていた
その刻印からとめどなくあらわれる
何体ものファントム
美しいもの 醜いもの
華 ....
純粋遊離線の導くままに
此の世の座標上から二人して逃亡しよう
巨きな万華鏡の中にしつらえられた
夏迷宮へと入り込んで
光る樹々と湖や
虹色の長い夕映えや
大粒の星座の中で
思うさま誰から ....
アイリス
君を見てきた
誰もが君の姿に
夢や憧れの物語を描くけれど
アイリス
でもきっと誰も
そして僕も
知ることはない
ほんとうの君の
創世記も
黙示録も
それはただ君の中で語 ....
りゅうのあくびさんの塔野夏子さんおすすめリスト
(8)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
夏の至聖所
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塔野夏子
自由詩
11*
17-7-31
硝子の鳥籠
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塔野夏子
自由詩
7*
16-3-9
暗い残暑
-
塔野夏子
自由詩
5*
15-8-23
漂う墓標
-
塔野夏子
自由詩
6*
15-8-15
夏の風
-
塔野夏子
自由詩
5*
15-8-7
フェノメノン
-
塔野夏子
自由詩
5*
14-9-23
INVITATION
-
塔野夏子
自由詩
6*
14-7-19
アイリス
-
塔野夏子
自由詩
8*
14-5-25
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