すべてのおすすめ
蝉時雨我も蛹となりて眠る
繰り返す八月六日は蒸し暑く
破れ傘握りて走る通り雨
花火見る横顔真夏のピークかな
箒抱きハロウィンの魔女出来上がる
冬めいて部屋に取り込む鉢ひとつ
冬めくも猫を{ルビ抱=いだ}いてミルクティー
くちびるが一番先に冬めいて
冬めいてなんの未練もない鳥よ
パソコンを切って冬めく夜を知る
手 ....
Wi-Fiの届かぬ蝉となりゆけり
桜にも詩集にも耳あてる夜
膝枕されて見上げる花吹雪
ゴッホでも描ききれない八重桜
葛餅を土産に四条通りかな
葛餅をひとつ買いたる小さき手
立秋や猫の肉球ぷーにぷに
終電を逃して歩く秋燕
どのメールも返信がない轡虫
青田風山の向こうへ日の沈む
マリアとは思えぬ顔の踏み絵あり
百舌鳥鳴くやベランダ産のサラダバー
顔以外砂に埋められ浜日傘
人間の未来のために死ぬパセリ
ガード下のひっそり佇む昭和の人
70年代冷戦の仄かな緊張と死
黄泉へ下った冷戦を揺り起こすな
このように天空の街に風吹いて
光満ち風吹く街のラピュタなり
風強き空と一体地の街は
空の街 地の街 境いこの大空
地の街を吹き抜ける風 空の風
地の街 ....
片恋のボタンはずして息をする
坂道を二人乗りして夏が行く
できたての朝は真夏のゼリーかな
水族館ガラスに映るあなた見てる
砂浜の足跡がまた波に消え
潮騒の残響に潜む君の声