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激しい夕立は
突然やってきて
落雷で鉄道が遅れている
小さな駅舎で
雨宿りをしながら
駅の改札で恋人と
待ち合わせをしていて
豪雨は短いうちに
まるで屋根を
ひっくり返したように ....
キミに会う前に
キミについての話を
たくさん聞いた
聞いてしまった
キミには内緒だけど
キミが奪った笑顔
キミがついてきた嘘
キミが壊してきたもの
キミを傷つけた大人たち
キ ....
肛門科の医師で
自称UFO評論家である私は
今こうして
私の前で四つん這いになっている
貴女に対して
医師として接するべきか
それともUFO評論家として
接するべきか思案している
貴女 ....
夜の静寂に歌のような言葉
耳たぶに引っ掛かって時を揺らす
此処にはいないはずの
あなたが聴こえてくるのです
朝の雑踏に歌のような言葉
靴紐を解いて時を忘れさせる ....
セダム 沙漠に咲く小さな花
極度の乾燥にも耐えうる種は
都市の上空に
正確で厳密な彼女の仕事は
成層圏を行きかう祈りと重なり
いつか惑星へと届くだろう
無重力のラボラトリーで
小 ....
今日もあの娘が泣いている
とても暗い雨の中で
黒く濡れたアスファルトの上で
一人声を上げて泣きじゃくっている
いつからか瞼の裏側に張り付いていたあの娘の
笑った顔を恐らく僕は見たことがな ....
あなたがわたしの中から消えてくれない
きっと、愛の言葉より 後悔が多かったから
きっと、愛の言葉より 口づけが多かったから
息を殺して真夜中ミノムシになる
出先の喫茶店で「童心」がお題の
コラムを書いてから、自宅のママに電話した。
――じゃあ、読むよ。
――今、周に聞かせるからちょっと待って。
ママが携帯電話の音量をあげてから
できたて ....
森の中で 本を読むなら ハンモック
ロッジみたいな 丸太小屋を 立てて
枝垂れ柳みたいな
かりそめの幽霊に おびえる夜、
暖炉で 温まり
全てを 忘れながら
名も知ら ....
橙の蛍光灯にてらされて、
膨れ上がった球体は熱く、
床に落ちていた
縫い針で、
ぷちり刺してみる。
球体が弾けて、
鼠色の煙から、
たくさんの色とりどりの球体が、
....
隣の芝生が青くみえる丑三つ時
いっそ眠れないならと珈琲を飲み
ため息、またひとつ
しあわせになるんだと
そればかりおもっている
しあわせになるんだと
月並みにいえば
出会うのだから
別れも来るだろう
行き過ぎてしまえば
傷付け合う日もくるだろう
そのうち傷のこと ....
右折を待つ
ウインカーが
正しくその意思を刻み始めれば
心臓の鼓動と
いつか同調する
反復
同化
ト切れぬ
直進の車
既視
夕日
影法師
見送ることに
慣れて ....
雨は何を この街から
押し流さすのだろう
きっと 朝顔の種が
そこには含まれているかもしれない
君は 昔のフランスにいる
ボロ売りのようだった
そして 僕の去った 道ばたで
....
朝目が覚めてもまだ眠たいと思うのは
昨日が終わって欲しくないから
おはようと言って昨日の終わりに
さよならしよう
夜寝ている時に夢を見るのは
今日が終わって欲しくないから
おや ....
むしられた羽根が
散らばる四畳半は
着古した洋服の匂いが漂う
何週間も閉じられたままの
ノートパソコンは
化石になって ....
素直に
想いを伝える
命の煌めきは
身体を紅く
染める耀きの
燃料になっていて
未来へと
想いを運ぶ
夜空を照らす
裸のままに
燃える僕らの炎
水平線から届く 光のプリズム
波間を跳ねる 飛び魚の反射光
西風が連れてくる 寒気の 青
帆船が放つ 白の眩しさ
東の太陽に寄り添う 暖気の 黄
イルカが 跳ねる 水しぶ ....
気付かなかった だから
傷つかなかった ぼくは
気付かなかった きみが
苦しんで 苦しんで 苦しんで
もがいて もがいて もがいていたこと
愉しんで 楽しくて 笑い続けていた ....
頭蓋骨にぽっかりと穴の空いた人は
心にもぽっかりと穴が空いたようで
表情は少ない。
手の震えは、脳味噌の痙攣で
その人の手の震えは、僕の心を痙攣させる
その人の無表情の時間は次第に長くな ....
砂浜に夢を描いた
こんな年にもなって砂遊びなんてと笑う人達
そんなものお構い無しに描き続けてる
たとえ下手くそでもみんなに笑われても
自分の夢なんだ。時間を忘れて
夜になってもまだ描き続け
....
雨が止みこれからも闇が続いていく
遠藤文学講座の後に、皆で語らう
この店で僕は、受洗を決意した。
この店で僕は、息子の障がいに泣き崩れた。
四ツ谷の地下の珈琲店・エルは
奇遇にも
遠藤先生の命日である、今日
四十五年の ....
森羅万象の奥行きを潜り
泡立つ呼吸音に身を委ねる
壊さなければ訪れない静寂に
あてがった指 時間を悔やんで
包まれた喪服の相容れない微粒の黒
引き千切って 逃げ出すのもいい
やがて更新 ....
想う心のベクトルは
方向音痴で 寄り道が大好き
想う心のベクトルは
目的の横を 気づかず通過する
想う心のベクトルは
見知らぬベクトルが 行きかうなかで 的を見失う
....
新雪は キレイだけど
深雪は コワイ
親切は ホシイけれど
新設は シナイ
だだっ広い公園の真ん中で
ちょうど一人が座れるくらいの距離をとり
ベンチに座る
身を硬くしているよう
生まれて初めてラブレターを頂いた
白く上質な便箋とインクのしみ
私の中心に落とし込 ....
いとしいという気持ちは
どこにもたどりつかない
ただ生きてくださいと
おもうばかり
あなたはもうそれで
十分素晴らしいのだから
なにひとつあきらめることも
うしなうこともない
....
がようし いちまいあったら なにをする
あおくぬったら まなつのそら
だいだいいろにぬったら あきのゆうぐれ
さんかくにおったら かみひこうき
しらないくにへ とん ....
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