愛してない 愛してない
これっぽっちも愛してない
やさしく触れてこようとするその手が憎いの
「かわいいね」
と、言いながら
あたしを愛でるその行為
あたしの知らない快楽で
あたしの知らな ....
きみはひどく咳き込み
すぐに踞った
今日は風がつよいね
手をつないで
髪を
なでた
すきだよ
あまく
湿った声は遠く
いつも
おびえているみたいだった
....
冬の車道にぼくは蝉をみつける
暖房を効かせたひろい町のどこかで
あの子がすきな作家の本を
ぼくは読まないけれどたくさん持ってる
早朝につんとした風が耳を抜ける
まぶしさに目を塞げるな ....
*AM4:00
朝が早い
青い鳥は見付からなかった
いつもそうだった
*AM3:00
戸締まりの仕方が分からない
声だけが湖になる
....
はねを生やして飛び立とうとするのは
なにも言葉だけじゃない
重すぎる心臓を
あかく吐き出しながら
お前のことを絵にするのは
いいかげんにしなくちゃね
お前はそう、
ひっそりとやさしいに近 ....
片足を曳いて
空を登る
これは頂上から下げる予定の頭
導く、斜陽は赤く、大きく
目を伏せる、花は白く、不気味に
大きく
わたしを
きみを
祝福して
大きく散るだろう花の学術名を手探っ ....
青空に舞い散る飛沫きらきらとプールに飛び込む少年の夏
呼んでいる遠い記憶の夏の声駆けて行きたいいつかの森へ
朝顔の花が咲いたよきれいだな笑顔も満開夏の絵日記
水平線の彼方に浮かぶ蜃気 ....
ひとつひとつに
名前なんてなかった
きみだけが知っていた
美しい世界
神さま
ねえだから
きみは神さま
みんながうまれたときに
さいしょに泣いてくれたのは
きみだったな
あわくする ....
マーブル模様の夜空に
月は失くしたペンダントのように沈んで
私は飛べる場所を探していた
行き交う人々の流れに揺られて
転がる石の中の
格子から手を伸ばす私
オレンジ色の街灯の光を吸 ....
有刺鉄線に絡まれて
裂かれた薬指の赤い色
流れる流れる 流れる流れる
脈々と続く赤い色
薬指で交わした約束はなかっただろうか?
流れる赤に約束までが
流されてしまう恐怖を感じて
慌て ....
夜に響かす バイオリン
月夜に響かすバイオリン
月のしずかな夜ならば
せめてバイオリンを響かそう
月が何も ささやかないのなら
私は バイオリンを響かそう
きゅーんと音が 月まで届 ....
070913
欠片を探す
私の古里
好い女
左の耳から上等兵が
上等のお砂糖を
盗んできたよと
囁いても
シランふり
戦う意欲がありません
シ ....
追いかけるのはいつかの夢
{ルビ揺蕩=たゆた}うのは幸福だったころの記憶
抱きしめるのはあのひとの気配
口づけるのは囁かれた愛のことば
燦燦たる陽のしたで赤く爛れるのは向日葵の花
瞬きの ....
終電の終わった線路に
踏み込もうと思ったけど
青く点灯する信号を見て
しばらく迷った末 やめてしまった
スタンド・バイ・ミーごっこは難しい
夜だけど
いつも感じる夜とは匂いが違った
....
空よりは高くはない
ただ、
この丘から見える景色をながめている
「素直にしているの?」
「凛としているの?」
そんな問いかけは
この宙に、あてもなく溶けていく
....
空から降り立った
ひとりの天使
幸せを配って歩いた
返ってきたのは言葉という凶器
傷だらけの天使
もう空は飛べない
幸せが溢れて零れていく
でも拭かなくていいの
きっと蒸発したら
また幸せな空間にしてくれるから
耳障りなノイズ
うるさくて飛び出した
まだ残っていた
ナチュラルな優しい音楽
『私』はどこに存在する
視覚を占領しているのはどの私
聴覚、嗅覚、味覚、触覚
どれも、この『私』にはない
でも、『私』には心があった
『私』に五感がないように
他の ....
空からこぼれた雫は
かみさまの涙
地球を優しく包み込んで
渇いた私たちの心を
潤してくれる
永遠なんてないっていうけれど
かわらない景色がここにはあって
なんだか目頭があつくなった