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星降る夜にちいさな灯りがぽつん
ちいさなお家で
窓の外にも聞こえてくる
若夫婦が楽しそうにおしゃべりしているよ
プチプチリルレ
プチリルレ
ここは とってもおいしい と
評判のち ....
大きな水槽の中に入ってしまったのは、
久しぶりだった。
そこは、ゆらゆらうごめいていて、
別々の世界が水素と酸素を融合させている。
やさしみの泡は、その中をぷくぷくと
漂って ....
「急に泣きたくなる」
という設問を読んで
泣きそうになる
つきつめると
あふれてしまうので
空みみのふりをして
「いいえ」に丸をつける
+
淡い花のきもちになって
窓の外 ....
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
+
....
奪われないので
今日もひとり分を生きた
果てのない風船の暗闇で
惑星の君が手をふっている
伸びる道は無限に存在し
いつでも繋がっていると同時に
いつでも一定の隔たりがあり
謎 ....
落ちてゆく
夕陽の触り方を
知らない子どもが多い
つるりと
何のためらいもなく
なで回すと
とたんに飽きてしまう
そうして
バイバイと手をふって
見送ってしまうのだ
そんな
少し ....
ラピスラズリは、青い。
惑星に似た丸い石は、原石のまま磨かれずにいて、
濡れてもいないのにいつも冷たい。
時々、水脈を聞く。
明かりを知らない水の奏でる音楽を。
明かりの届かない ....
海へ行った
病気の母を連れて
もう一年も前
秋の始まり
懐かしい
海岸線
生まれた町
揺れないゆりかご
籐の編み目の
飴色の海
その色を
ずっとみていた
ゆっくりと歩いて
波 ....
なくした言葉がいくつかあって
それを、また
見つけだすのにあたふたなんかして
正しい言葉
わからないんだ
ぼくは
言葉は無力だと知っていて
それで ....
上巳の日
川で身を清め
穢れを流す
不浄を祓う
香る花
おぼろな月
のどかな心
桃の酒 ひとくち また ひとくちと 弥生に酔う
春来たりなば夏遠からじ
からすのえんど ....
ねぇ、死んじゃったら
なにも見れなくなるんだよね?
なにも伝えられなくなっちゃうんだよね?
そこには、なにもなくなっちゃうの?
なにも残らないの?
天国にいくの? ....
ああ
いくつもの候補があったよ
さくらとか、みかんとか、まりんとか
植物や風景が多かったかな
もう生まれてくる季節なんか
どうでもよくってね
まろんとか、こなつとか、みさきとか
次々 ....
お金や幸せを掻き込むという
縁起物の熊手
わたしの望む幸せとは
そんな熊手の上手から漏れた小さな幸せ
例えばそれば
何時に無く目覚めの良かった小春日和の午後
所在無いままに陽だまり ....
やさしいのか
やさしくないのか
雨の日のあなた
約束の時間に
遅れたわたしに
何も言わないので
カフェオレを頼んだきり
わたしも黙って俯いてい ....
八月はしづかに
葉先からくれないに燃え
白い節くれだった骨になる
そのつつましさの中に
芽吹こうとする強い意志を隠しもっている
漂流する鳥たちは
わずかの間のよすがを求め
自らの骨のゆめ ....
白く閉じた世界で
差し延べる手を待って
ただここでうずくまって
心は冷えていくの
白く閉じた世界で
零れた熱はどこへ?
いつかの虹も枯れて
消えていく空の色
....
夏の名残を雨が洗うと
淡い鱗を光らせたさかなが
空を流れ
ひと雨ごとに秋を呟く
九月は
今日も透明を守って
焦燥のようだった熱や
乾いた葉脈を
ゆっくりと
冷ましながら潤ませ ....
比べたくなるものがある
幸せの度合いとか
それぞれの人生のありようとか
ひとと比べることで見いだせるものとは
柱に刻まれた幾筋かの古傷は
生を授かった証であり
輝ける未来への歓声で ....
雨から身を守る道具としては
七割の完成度
軽く三割は濡れてしまうもの
完璧でない
アン・バランス
正に
人が持つべき
人の為の
人に似た
道具ね
かそけき風の香音(かのん)を連れて
秋宵の橋を渡る
あふれる水の数を
わたしはしらない
契る言葉の薄紙
序(ついで)を忘れた指先で鶴を折る ....
{引用=
空を
ただよい
流されていく
やわらかな白を
ばら色に染めながら
闇に墜ちていった日
あなたは秋の夜になった
星座があなたの中をさまよい
....
黴臭いなにかに誘われて
踊り出た夕闇、上弦の月
静かに静かに
子守唄を唄う乳母の横を
ちいさな孤独が通りすぎた
(それは駆け足で
(夏のにおいがした
てらてらと蛍光灯に ....
趣味のいいワイングラスに
昨日ためこんだ夜の雫、
上品に傾けても
逃げるように失われていく
アンティークなこの脳の活動には
ねじを巻くのと同じような要領で
こんぺい糖のよう ....
憧れは
影も落とさず
夢は
薫風のように漂う
想いは
霧のようにつかみどころがなく
諦めだけが
地底を這いずる
日々
記憶さえも
消えゆく
微かな光も射さ ....
近づいてゆく
風が乾いた草の匂いをはこんで
近づいてゆく
滅んでゆくものの気配を
怖がらないで足をのばし
サンダルを遠くに飛ばして
近づいてゆく
秋のサテンのやわらかな手触り
私はこの ....
ニコニコと笑う君も 好きだけど
口とがらせて怒る君も 好きなんだよ
怒った顔も可愛いから
ついつい怒らせちゃう
僕を信じてる君も 好きだけど
僕を疑ってる君も 好きなんだよ
安 ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする
すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような
ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
あなたに笑ってほしい。
そのために私は、いつも笑っていようと思います。
どれほどの悲しみが、みじめさが、苦しみが、この胸に渦巻いても、
あなたの前で、私は泣かない。
馬鹿な強がりで ....
明け闇に稲妻
白い栞のように
風は慌ててページをめくる
朝を探している
朝
井戸につるべは落とされて
鏡が割れるように
宝石が生まれるように
しぶきは上がる
あたたかい頬 ....
どんなに つらくとも
どんなに くるしくとも
どんなに こわくとも
歩くことはしないで 走り続けて…
******************
今でもふと頭の中をよぎる
旅立つあなたの ....
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